みなさんが今、青春時代のやわらかい頭を使って一生懸命勉強に励んでいる究極の目標は、「大学受験のため」ではありませんよね。今おこなっている努力は、将来自分ならではの技術や知識、アイデアによって世界に貢献するためのものです。
さて、ここで浮かんでくるのが、「自分ならではの技術やアイデアって?」という疑問です。
現時点でもうそれを見つけている人は幸いですが、そうでない人のほうがずっと多いはず。ただ、自分の道を見つけるための時間はたっぷりありますので焦る必要はありません。
漠然と「世界の役に立ちたい」「世界を変えたい」と思っていても、その道筋は様々。いったいどの道を選べばいいのか、出発点で頭を抱えてしまっている人が多いと思います。でもそれはもしかしたら、「人の命を救うには医療」「社会を変えるなら政治」と、いささか杓子定規で考えすぎているのかもしれません。「ひとつの道を選んだら人生が決まってしまう」と、歩き始める前の段階で気後れしてしまっているのかもしれません。
実際、世界へとつながる道はとても広く、様々に交差し、思わぬ発展をとげるものです。医療だけが人の命を救うのではないし、政治家だけが社会を動かしているのでも勿論ありません。
今回ご紹介するTED動画は、「アートで世界を変える」という活動をしている青年の記録です。アートなど所詮娯楽であり、それを楽しむ人のためにのみ存在する、という考えもあるでしょうが、それはそう考える人にとっての「アート」であるというだけの話。表現者の思い、アイデア、そして技術の活用の仕方によって、芸術はときに親や教師、政治家や軍隊の力の及ばないところで人々を変え、ゆくゆくは世界を変えていく可能性を持っています。(ただし芸術家が陥りがちな「自己満足」では、世界を変えることなど到底できませんが)
半匿名で活動するフランスのストリート・アーティスト、“JR”は、カメラと紙を使ってどのような活動で世界を変えようとしているのか。
彼の活動を見て、「自分はどんな分野で世界とつながりたいのか?」を考えてみるのもよいかもしれませんね。
「JRのTED Prize受賞スピーチ・アートを通して世界をひっくり返す」