プログレス21の特徴と勉強法(詳細版)

プログレスの特徴

中高一貫の進学校では、中学時に『NEW TREASURE(ニュー・トレジャー)』Z会出版 か、『PROGRESS IN ENGLISH21(プログレス21)』イエズス会出版 という教科書のどちらかを使う場合が多いです。進学校の中には、どちらも持たせていたり、高校以降も使用する学校もあります。

この2冊は、一般の検定教科書よりも難易度が高く、検定教科書であれば高校生が学習するような発展的な内容まで中学生でも扱うよう構成されています。きちんとマスターできれば、中学生であっても共通テスト試験レベル、英検であれば2級以上のレベルの問題に対応していけるようなハイレベルな教科書です。

ただその一方で、学習進度の早さ、学習する語彙・文法量の膨大さ、対応する参考書や問題集の少なさから、教科書を十分に理解できない生徒さんが多いのも事実です。

英語は、一度分からなくなると、負のスパイラルに陥ります。学校の授業についていけなくなるどころか、自宅では何を書いてあるのか読めず自主学習もままなりません。そうして英語が全くできなくなる。教科書が読めないことで苦手意識が増し、いわゆる落ちこぼれの原因になってしまいます。日々の学習の積み重ねや継続が肝心な英語学習では、いよいよ大学受験が近づき、一念発起して英語を勉強しようとしても、落ちこぼれたところから遅れを取り返すだけで、実に何倍もの労力と時間がかかります。

プログレスと検定教科書の違い

プログレス21の勉強法についてお話するにあたって、まずはプログレス21の特徴と検定教科書との比較から述べます。プログレス21は、一部の中高一貫校で使われる比較的高難度な英語教材です。検定外教科書のため副教材という位置づけで、検定教科書を一緒に持たせることがありますが、実際はプログレス21のみを扱う学校もあるようです。もともとイエズス会の神父様により作られた教材ということもあり、使われている英文は宗教や欧米文化関連をテーマとしたものが多く、ストーリー仕立てで語られる文章が主です。一部のカトリック系の学校で採用されています。

プログレス21と検定教科書との違いは、大きく分けて3つあります。1つ目は文章と語彙量の多さです。2つ目は、検定教科書なら6年間かけて学ぶ文法が中3(プログレスでいうところのBook3)までの3年間で学び切れるように詰め込まれていることです。そして3つ目は取り扱う文章が主に「小説」「物語」「会話文」と偏りのある点です。

検定教科書では学年ごとに使う語彙が決まっており、そこに教科書による違いはほとんどありません。また検定教科書は6年間をかけ、重要な文法を反復しながら学ぶよう構成されています。中学で習ったことをよく飲み込めていなかったり忘れたりしても、高校で再度学ぶことによって頭に覚え込ませることができる作りになっています。文章は、一般的に中学時は日本人の中学生が主人公のストーリー仕立てとなっており、文章量は段階を経て増えていきます。英語初学者の日本人学生にもとっつきやすい、英語の導入時に障壁の低い教材であるといえます。

それに対して、プログレス21は検定教科書に比べて初めから無駄がなく、非常に密度の濃い教材です。語彙や文法は章のストーリーに沿って記載されているため、検定教科書では高校時に学ぶ内容であっても、中学学習範囲に部分的に挟みこまれてきます。そのため自学習で予復習を進める際には、中学生であっても高校生レベルの参考書を自ずから引いていく必要がでてきます(いわずもがな、教科書を十分にマスターしていくにあたって予・復習は必須です)。文章はとにかく長文で、教科書の読み物としてはかなり重たいです。また、対応する問題集が少なく、実戦問題の演習不足になりがちです。いざ実戦問題を前にすると、問題演習不足のために、まるで解けない生徒さんもいます。密度の濃い教材である一方、参考となる解説や演習問題量の少なさから、教材を使いこなせず、消化不良となっているケースが多いのです。

プログレスで学ぶ際の問題点

それだけに、先生側の教え方にも高いスキルが求められます。難しい単語を生徒のレベルに合わせて適宜変換する、重要文法を見定め繰り返し演習させるなどの工夫が必要で、プログレス21を使いながらも高校~大学受験学年への接続を考えられる難関大学受験指導の知識も必須です。中高一貫校でプログレス21を教えている先生方の中には中学英語やコミュニケーション英語専門の方もおり、教材をうまく使いこなして生徒の英語力を上げるのを実は苦手としている先生もいらっしゃるようです。

しかし現状では、先生方自身がこの教材の難しさに気がついていないことも多く、教材研究や指導の工夫が足りていないため、結果として落ちこぼれてしまう生徒が多数出ているという報告もあります。

通り一遍の指導で大量の文章や単語をぶつけられた生徒は及び腰になり、授業でついていけない部分を塾などで埋めようとしても、補習塾のレベルではプログレス21に対応できません。また英語専門塾は学校授業を度外視した独自のメソッドで生徒を教えていることが多く、学校成績に結びつきにくいという現状があります。プログレスで英語に苦手意識を持ってしまった生徒は、高校に上がったときには完全に「英語嫌い」となってしまいます。大学受験を考えれば早いうちにこの流れを変えなければいけません。

プログレスの活用法

学校のカリキュラム上、英語に割ける時間は限られているので、学校の授業だけでプログレス21をマスターするのは難しいでしょう。リープエンジンでは、プログレス21のマスターのカギは、各生徒さんの学習状況を見極めた上での適切な解説と日々の学習の具体的な指示、そして段階的な「演習」にあると考えています。

まずは、プログレス21はハイレベルな教材で、実用的な英語を学ぶ上で優れた教科書である一方、中学校3年間の限られた時間の中で、自力で会得していくのはかなり難しい程の情報量が詰め込まれている、との心構えが必要です。

その上で、教科書を十分に使いこなすには、これまで多くの中高一貫校の生徒さん方を見てきた講師の見地による、適切なレベルの演習量を積んでいくことが重要となってきます。時には講師から外部検定を受けるように指示されることがあるでしょう。ご自身の英語力を確認できると同時に、普段の努力の成果がみられると、きっといまの英語の勉強への自信や、さらなる学習へのやる気が満ちてくることでしょう。日々の学習に相乗効果をもたらすようにして、プログレス21をうまく使っていくことができます。数多くの演習を基本軸に、中高一貫校生専門のリープエンジンだからできる、学校の定期テスト~大学受験対策までを意識した指導をリープエンジンでは行っています。