体系数学の勉強法と特徴【詳細版】

体系数学をお使いの方へ

この文章は、『体系数学』(数研出版)を採用している中高一貫校の中学1年生から2年生を対象に、体系数学での勉強法についてまとめたものです。お子様の通われている学校で、体系数学をお使いの方で勉強のやり方に迷われている方はご参考にしてください。

学年別に作られている通常の検定教科書とちがい、体系数学は代数・幾何など系統によって分かれた5つのシリーズ(全8冊)からなる教科書です。これらについて、中高を通じて使う学校もあれば、途中の学年まで使い、その後通常音の検定教科書に移行する学校もあります。

体系数学には、通常の検定教科書と比べて次のような特徴があります。

  1. 教える内容を、近い分野でまとめ体系的に整理している
  2. 重複する内容を削ぎ落とし、コンパクトにまとめている
  3. 市販の問題集や参考書との併用には注意が必要

まずは、上記3点についてくわしく説明し、その後、体系数学を利用した勉強法について述べていきます。

目次
特徴1 体系的に整理
特徴2 重複する内容の削除
特徴3 市販の問題集併用の際の問題
体系数学を使う際の心構え
体系数学を活かすための勉強法
塾を活用した体系数学の勉強法

特徴1 体系的に整理

通常の検定教科書では、中学1年で1次方程式を、中学2年で連立方程式を、中学3年で2次方程式を、高校1年で1次不等式を学ぶように作られています。

しかし、体系数学では、中学1年で1次方程式・連立方程式・1次不等式を一気に学ぶように作られています(2次方程式は中学2年で学びます)。これは、学習時の自然な理解の流れにそって “1次式”としてまとめられる分野を束ねたためです。

体系数学では、この例のように、知識を体系的に整理している ため、各分野のつながりがつかみやすく、効率よく学べるよう工夫されています。しかし、メリットの陰には必ずデメリットがあり、効率的に整理されているがゆえに、一度理解につまずくと、”わからないという状態”が通常の検定教科書より長く続くことになります。

特徴2 重複する内容の削除

通常の検定教科書では、中学1年生で1次式の計算を、中学2年生で1次式の復習と単項式のかけ算・割り算を、中学3年生で多項式のかけ算を学ぶように作られています。

しかし、体系数学では、中学1年で1次式の計算と単項式のかけ算・割り算を一気に学ぶように作られています。

体系数学では、この例のように、復習となるような重複する知識を削っている ので、スピーディに学ぶことができます。しかし、繰り返しがないように整理されているがゆえに、知識が抜け落ちてしまうと、それを取り戻す機会が少ないといえます。そのため、「本当にわかっているかが不安」と感じる生徒さんも多いでしょう。

特徴3 市販の問題集併用の際の問題

上記のように、体系数学では扱う知識の並び方が、通常の検定教科書とは異なります。しかし、書店にある市販の参考書や問題集は、基本的に通常の検定教科書の知識の並びに準拠して作られています。そのため、体系数学で学んでいる生徒さんが、市販の参考書や問題集を併用する際には、単元の対応に注意が必要 です。

例えば中学1年生の2学期の中間試験で、1次不等式がわからないため、あるいはもっと練習したいため、市販の参考書や問題集に当たろうとすると、高校1年用のものを探さなければいけません。このとき、ある程度数学について知識があれば、単元の対応や学ぶ順序を見てどんな参考書に当たればよいかすぐに分かりますが、はじめて数学を学ぶ中学生や、しばらく数学から離れてしまっている保護者様では、その判断が難しいかもしれません。

現在販売されている体系数学対応の参考書や問題集は、教科書と同じ出版社(数研出版)による2冊程度で、そのうち1冊は学校で配布されている可能性が高いです。このため、「より自分に合った参考書を探す」というのは(よい指導者がいないと)難しいかもしれません。

体系数学を使う際の心構え

以上の3点から、体系数学を使って勉強を進める際には つまずいた時にすぐに解決できるような環境を用意しておく ことが必要です。

通常の検定教科書より復活のチャンスが少ないのですから、わからないことをそのまま放置しないで、疑問点がでたら、学校や塾の先生にすぐに聞きに行くような習慣を身につけることが大切です。あたりまえといえばあたりまえの結論ですが、内容に無駄のない体系数学で勉強する際には、特に大切なことです。

とはいえ、「疑問点をすぐに質問して解決する」は言うのは簡単ですが、実際はなかなか難しいかもしれません。時間がなくて先生がつかまらなかったり、気軽に質問できる人が近くにいなかったりする場合もあるでしょう。また、質問しようと思っても、なんとなく気が引けて、なおざりになってしまうこともよくあるのではないでしょうか。

体系数学を活かすための勉強法

ここからは、体系数学を使って勉強を進める上での理想の形についてお話ししたいと思います。

体系数学を利用するということは、中学3年間の勉強を約2年で終えてしまおうとしていることにほかなりません。そのため、学校の授業が早くなってしまうのは当然といえます。

そこで、私が考える、体系数学での授業を本当に活かすための一番の勉強法は 学校で習う際につまずくことがないように、事前に勉強を進めておくこと です。

数学は、英語と並んで最も授業数の多い科目です。それゆえ数学の授業では、一旦わからなくなるとそれがあとを引き、「わからない時間」を多く過ごしてしまうことになります。時間数の多い学校での授業を、消化不良におちいることなく上手に活かすには、そもそも授業で疑問点が生じないよう、学校の授業に先立つ勉強を進めておく のが効率的です。

具体的には学校の授業に先行すること1ヶ月~3ヶ月ほどの範囲を、付かず離れずのペースで先行学習します。そうすれば、学校の授業の理解がスムーズになり、わからない間に授業が進んでしまうという無駄な時間をなくすことができます。学校の授業が「復習の時間」になるわけです。また、先行学習の際に学校で与えられる問題集を解きはじめれば、遅くとも試験2週間前には、学校から範囲を指定される課題提出用のノート等を完成できます。すると時間に余裕が生まれ、試験前に問題集を2周3周することもできますし、その時間を他の教科の勉強に割り当てることもできるため、全科目の成績向上へとつながります。

塾を活用した体系数学の勉強法

先行学習によって学校の長時間の授業を無駄なく活かす、というのがここでの基本的な考え方でした。でも、ただでさえ忙しい学校生活ですから、このような先行学習を実践するには、短い時間で効率よく勉強を進める必要があります。

独学ならば、教科書ガイド(教科書の問題の解説)を購入し、自分で理解しながら教科書を読み進めることができればベスト。ですが、それを率先して実行できる中学生は少数派かもしれません。また、どうしても独学ではつかみにくいことはありますし、独学では得られない知見(分野間のつながりや、知識の上手な整理の仕方、大学入試問題の傾向など)がほしい場合には、やはり専門の塾で学ぶ必要があります。

手前味噌にはなりますが、当塾(リープエンジン)では、上記の先行学習を成功させ有意義な学校生活を実現するためには良い先生、良い環境、良い生徒の相互作用が不可欠との考えから、
・中高一貫校のカリキュラムの把握し豊富な指導経験もつプロ講師の指導力
・生徒一人一人と綿密なコミュニケーションがとれる少人数のクラス
・互いに刺激しあえるやる気のある生徒のみが参加していること
以上の条件を満たし、実践しています。

体系数学で学ばれている方で、より効率の良い、より高度な学習をお考えの際には、上記の点に注意して最寄りの塾等をご検討されてはいかがでしょうか。


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