スマホ・ゲームとの距離――「取り上げる」の前に知っておきたいこと
中学前半〜高校
「スマホばかりで、まったく勉強に向かわない」「ゲームを取り上げるべきでしょうか」――面談でくり返しいただくご相談のひとつが、スマホやゲームとの距離の取り方です。中学受験を終えて入学した直後は良かった成績が、学年が進むにつれてスマホ、とくにショート動画に時間を取られ、まず副教科や理科・社会から、次第に主要科目へと順位が下がっていく。これは、入学後にいちばん多くいただく失速のご相談の形です。
先にお伝えしておきたいことがあります。この問題を「本人の自己管理能力が足りないから」と、お子さんの性格の問題にしてしまうと、かえって解決から遠ざかりやすいのです。
「意志が弱いから」ではなく、環境の問題として見る
スマホゲームへの没頭は、本人の弱さだけでは説明できません。クラスの大半が同じゲームをしていて抜けにくい人間関係があり、そこに課金や継続を促す巧妙な作り込み――そもそも「ハマるように設計されている」仕組み――が重なって起きています。いわば環境の側の問題である場合が多い。本人を責める前にこの構造を見たほうが、対処の糸口はつかみやすくなります。
ですから、対策として効くのも「気合でやめる」ではありません。ハマるように作られている以上、我慢で勝とうとしても続かないのです。現実的に効くのは、「飽きる」か「物理的に距離を取る」かのどちらか。時間の上限を決める、夜のある時刻以降は使わない、視界から遠ざける――といった、仕組みの側で距離を作る工夫のほうが、ずっと現実的です。
「完全に禁止」より「続けられる設計」を
とはいえ、いまの中高生からスマホを完全に断つのは、多くのご家庭で現実的ではありません。全部取り上げてしまうと、学校生活で疎外感が生まれたり、子どもは子どもで抜け道を探し始めたりします。落とし所は、完全禁止ではなく「続けられる形」を設計することです。
たとえば、時間の総量で見て平日はこのくらいまで・休日はこのくらいまでと家庭で上限を決め、定期試験のような期限や成果と引き換えにしながら、段階的に管理していく。あるいは「何時以降は親が預かる」という運用に切り替える。物理的に端末を預けても、家のどこかにある古い端末で再開してしまうことは起こり得ますから、家庭内の端末を一か所にまとめておく、といった環境側の備えも要ります。いずれも、意志の力に頼らずに済むように整えるのがコツです。
ひとつ添えておきたいのは、ここでの対立の多くが、事実そのものよりも「見え方」のずれから来ている、ということです。ご家庭では、お子さんが家にいるあいだの姿しか見えないぶん、使っている時間を実際より長く感じてしまいがちです。勉強に使っているスマホと、娯楽のスマホを分けて考えるだけでも、話がこじれにくくなります。
それでも心配なときの、ひとつの線引き
もうひとつ、判断の助けになる見方があります。同じ「ゲームに没頭している」でも、本人が自分でコントロールできているのか、本人もやめたいのにやめられないのか、で意味が変わります。前者であれば、好きなものがあること自体はむしろ強みで、頭ごなしに否定する必要はありません。後者――やめたいのにやめられない状態が続くなら、それはしつけの問題というより、専門的な相談が向いている場合もあります。この線引きを持っておくと、無用に叱りすぎることも、逆に見逃してしまうことも避けやすくなります。
塾より先に、家庭で済ませておけること
最後に、正直なことをお伝えします。睡眠・食事・スマホの使い方が整っていないと、どの塾や家庭教師にお金を払っても、効果は出にくいものです。とくに「これまでの積み残しを本気で遡って固め直したい」というご家庭ほど、まずスマホの使い方をご家庭で合意しておくことが前提条件になります。1週間はおよそ1万分。そのなかで授業に通う時間はごくわずかで、土台になるのは日々の生活リズムのほうです。土台がないまま通塾の時間だけを足しても、思うようには伸びません。
スマホやゲームとの距離づくりは、塾に通わなくてもご家庭で進められる部分が大きいところです。リープエンジンの面談でも、ここは「入塾してください」ではなく、まずご家庭でできることを一緒に整理するところから始めています。もし、その設計を一緒に考える相手が必要でしたら、学習カウンセリングでお手伝いできます。