「中1まで戻る」が一番の近道になるとき――遡り学習の判断
中3〜高1
「真面目にやっているのに、英語の点が伸びない」――高1のこの相談には、しばしば見落とされている原因があります。それは、ずっと前に置いてきた抜けです。
丁寧なのに伸びないなら、土台を疑う
英語が崩れている高1で、綴りは正確、記述も丁寧。それなのに点が伸びない。こういうとき、中1内容の抜けが散見されるパターンがあります。丁寧さや努力の問題ではなく、土台に小さな穴が空いている状態です。
このケースで効くのは、高1のこのタイミングで、中1まで遡って復習し切ることです。遠回りに見えて、最短になりやすい。中学英語・数学の積み残しは、だらだら引き延ばさず、短期で一気に固めるほうが結果的に近道です。少しずつ手当てしようとすると、現在進行形の授業に追われて、結局どちらも中途半端になります。
目先の1回を、思い切って捨てる判断
ここで、勇気の要る判断をお伝えすることがあります。定期試験の直前に塾を始める場合、目先の1回は思い切って捨て、その時間を学年を遡った土台の作り直しに全振りする――という選び方です。
短期の点を1回分あきらめる代わりに、「夏には平均を取れる自分」を作る。目の前の1回を守ろうとして付け焼き刃で乗り切ると、土台の穴はそのまま残り、次の試験でまた同じところでつまずきます。どこかで一度、本気で戻る。その決断が、結果的にいちばん早いのです。もちろん、ご家庭にとっては目先の点を捨てる判断は不安なものですから、何を捨てて何を取るのかは、納得のうえで決めていただきます。
「中3スタートでは遅いか」への答え
遡り学習と地続きで、よくいただくのが「大学受験のスタートが中3では遅いのではないか、間に合うのか」という不安です。最頻出の問いと言ってよいでしょう。
この疑問は、正当です。そのうえでお答えすると、中高一貫の中3時点であれば、最難関の医学部など一部の特殊な進路を除けば、一般にはまだ十分間に合う、というのが現実的な見立てです。遅すぎて手遅れ、という段階ではありません。
そして、動機づけにひとつ工夫があります。志望が漠然としていても、仮の具体目標――なりたい職業像のようなもの――を一つ置くと、「だからこの分量をやる」という根拠ができ、勉強量を増やす理由になります。中3なら、確定した進路でなくて構いません。“仮の旗”で十分です。旗を一本立てるだけで、遡って土台を作り直す作業にも、ちゃんと意味が宿ります。