成城学園中学校高等学校

推薦権を持ったまま、外も受けられる——成城学園の6年の形

成城学園中学校高等学校があるのは東京都世田谷区、小田急線の成城学園前駅から歩いて8分の場所です。男女がともに学ぶ6年制の学校で、創立以来の「個性尊重」を柱に据え、「教育の理想を求め続けて、現代に花開く総合学園」を掲げてきました。

整理をひとつ。新宿区に名前のよく似た成城中学校・成城高等学校がありますが、そちらは男子校で系列の大学を持たず、法人からして別の学校です。このページで扱うのは、成城大学へつながる世田谷区の成城学園です。

さて、この学校で家庭がまっさきに知っておきたいのは、進路の作りです。学校は、同じことを二度にわたって明言しています。系列の成城大学へは高校3年間の成績が一定の基準に達すれば推薦される。そして一定の条件のもとで、その推薦の権利を手放さずに他大学を受けにいける。高2からは進路別学習に入り、系列大学へ進む「A」と、他大学受験をめざす「B(文系)」「B(理数)」の3コースに分かれます。

言い換えると、安全網を握ったまま外へ出られる形です。ただしどちらに進むにせよ、それを足元で支えているのは高校の評定です。

教室には、中学から入学した生徒と、併設の成城学園初等学校から上がってきた生徒とが混ざって座っています。中学から高等学校へは、多くの生徒がそのまま上がります。中学の3年間は、進路が分かれる高2の手前に置かれた助走の期間——そう見ておくのが、この学校の形に合っています。

成城学園の数学カリキュラムとつまずきやすいポイント

主要3教科は厚い。ただし厚みの配り方は国語寄り

学校は「中学では、高校での学習を見すえ、主要3教科を中心とした基礎学力の確実な修得に重点をおく」と説明しています。週あたりのコマ数もそのとおりで、英語・国語・数学のいずれにも公立の課程より多くの時間があてられています。

ただ、3教科の内訳を見ると、配分にははっきりした傾斜があります。3年間の合計で、英語が18コマ、国語が17コマ、数学が14コマ。公立の課程と比べた上乗せぶんに直すと、英語と国語はそれぞれ6コマ相当なのに対し、数学は3コマ相当です。国語の時間には、中1・中2で各1時間の書写も含まれています。英語に次ぐ厚みが国語に置かれています。

念のため、これは「数学が弱い学校」という話ではありません。数学も公立より厚く、少人数授業も入ります。ただ、数学だけは授業のなかで反復まで終わる前提を置きにくく、演習と解き直しの一部が家庭の時間に残りやすい配分です。

少人数として名前が挙がっているのは、中2と高1以降

数学で少人数として挙げられているのは、中2と、高1から高3にかけてです。速さで組を分ける習熟度別の仕組みは取られていません。

中1は最初の土台をつくる学年、中3は高校へ渡す最後の学年ですが、少人数として名前が挙がっているのは、そのあいだの中2です。どの学年であれ、理解のずれは本人が声を上げないかぎり表には出ません。答案の点数だけを見るのではなく、直しのノートに同じ単元が何週も居座っていないかを見ると、遅れの位置が早く分かります。

そしてもう一点。高2のコースのうち「B(理数)」は、高2になって急に選べるものではありません。中3の3学期の選択授業あたりから「選ぶ側の準備」は始まっていて、B(理数)を選択肢の側に残せるかは、中学の数学を切らさずに来られたかで決まります。「A」を選ぶ場合も、数学の評定は高校3年間の成績に含まれてくると考えておくのが自然です。中学のうちに数学から手を引く組み方は、この学校では3つのコースのどれとも噛み合いません。週のなかで演習が追いつかない時期があれば、その学年の範囲に絞ってアベセ(ABC)で短く手を入れる、という足し方もできます。

成城学園の英語教育と、6年間での伸ばし方

週6コマのうち1時間はGCP——「使う英語」と「積む英語」が同じ枠にある

英語には、中1・中2・中3のいずれも週6コマ、3年で18コマが割り当てられています。3年の合計では5教科でいちばん厚い枠ですが、中1・中2は国語も同じ週6コマで、中3で国語が5コマになる分だけ英語が抜け出す、という形です。ただし、この6コマには各学年1時間のGCP(Global Competence Program)が含まれます。文法や読解を積んでいく授業は、そのぶんを差し引いた枠で進む、という作りです。

英語で少人数として挙げられているのは、中2から高3までの通しです。数学のように途中で名前の抜ける学年がありません。

英検については、中3で学年の生徒がそろって受検する形になっています。海外に出る機会も用意されていて、中3の春休みには希望者対象のオーストラリア短期留学(約2週間・ホームステイをしながら現地校の授業に参加)、高校ではカナダの夏期短期留学、アメリカ・メリーランド州のマクダナ校との交換留学、カリフォルニア州のジェイセラ校への長期留学があります。

評定を支えるのは、範囲の決まっている側の英語

GCPや留学で伸びるのは「使う英語」、定期試験で問われるのは「積む英語」です。どちらも大切ですが、評定を支えているのは後者です。

使う機会が多い環境では、話す・聞くの手ごたえが先に育ち、書いて答える精度の確認があとまわしになることがあります。定期試験の英語は範囲が決まっているぶん、取りこぼしがそのまま評定に出ます。授業で扱った本文と文法は、その週のうちに一度、自分の手で書き出して確かめておく。これだけで、GCPや留学で得たものが評定の側にも乗ってきます。

高2の3つのコースを並べてみると、A、B(文系)、B(理数)——どれに進んでも英語から手を引く道はないことが分かります。英語はどれを選んでも残る教科です。選ぶ自由度を最後まで保つのは、結局のところ英語の評定の安定です。英語が崩れると、選択の話が立て直しの話に変わってしまいます。試験前だけ範囲の処理が追いつかないようなら、その期間だけもくもく勉強会のような場を使って作業量を片づける手もあります。

定期テストと、6年間を見通した学習設計

推薦の土台は「高校3年間」——中学の試験は、その型をつくる期間

学校が推薦の条件として示しているのは、高校3年間の成績です。つまり評定が推薦に直接効いてくるのは高1からです。

では中学の定期試験は軽いのかというと、話はむしろ逆です。高1の4月の時点で「評定を取れる型」がすでにできているかどうかが、この学校ではとても大きい。出題範囲が決まっている試験で計画どおりに取り切ること、提出物を期日までに整えて出すこと——高校で必要になるのはこの二つで、それを落ち着いて練習できるのは中学の3年間だけです。中学の定期試験は、点数そのものより、その練習が回っているかどうかを見る点検として読むのが実際的です。

週6日、朝8時25分から夕方18時までが一日の枠

学期は3つ、1コマ50分の授業が平日は6時限あります。始業は8時25分、放課後の下校は18時が目安。土曜にも同じ50分の授業が4時限あり、週6日授業が入る形です。

部活は約30の部・同好会。全面人工芝の広大なグラウンドがあり、ラグビー部・陸上部・テニス部・バトントワラー部といった運動部、吹奏楽部・写真部・美術部・ギター部といった文化部が動いています。校外には伊勢原の総合グラウンドと合宿所もあります。

行事も厚い学校です。中1は遠泳にいどむ海の学校、中2は夏の北アルプスに登る山の学校、中3は研修旅行。海の学校ではライフセービング実習も行われ、自然に向き合って命の尊さを学ぶ時間として位置づけられています。ほかに文化祭、体育祭、強歩大会、合唱コンクール、自由参加のスキー学校。

時間の設計で気をつけたいのは、夏です。中2の山の学校は夏の北アルプス、中1の海の学校も水に入る行事ですから、6年の前半では、暑い時期に行事の側がまとまった時間を取ります。夏を「まるごと復習にあてられる期間」として計画すると、たいてい崩れます。行事の前後を先に押さえ、残った日数で何をやるかを決める——順番をこう置き替えるだけで、夏の失速はかなり防げます。

校内の手当てとしては、高校段階に指名制・希望制の講習が置かれています。中学でどう扱われているかは、直接学校にお尋ねください。まず校内で使えるものを数え、足りない分を外に求める順番のほうが無駄が出ません。

中3の3学期に、時間割の一部を自分で選ぶ——高2の分岐の前哨

中3の3学期には、週4時間の選択授業が設定されます。約15の講座から選び、専門的な指導を受ける形です。

高2でA/B(文系)/B(理数)に分かれることを思うと、この中3の3学期は、その前に一度「選ぶ」経験をする学期——高2の分岐の前哨として読めます。学校がそう説明しているわけではありませんが、家庭の側でそう受け取っておくのは悪くありません。約15の講座から週4時間ぶんを選ぶには、何に時間を使いたいのかを一度言葉にする必要があり、それは高2でコースを選ぶときの小さな予行です。何を選んだのか、なぜそれにしたのか、選んでみてどうだったのか。この3つを本人と話しておくと、高2の分岐が急な決断にならずに済みます。

成城学園の進路設計——在学中の進路の組み立て

読者としてここで想定しているのは、成城学園に通うお子さんをお持ちのご家庭です。学校選びの話ではなく、入ったあとの6年の組み立て方を書きます。

進路の出方(学校の進路構造の一般傾向)

成城学園は、系列に成城大学を持つ付属校です。成城大学へは、高校3年間の成績が一定の基準に達すれば推薦されます。「一定の基準」というのが学校の言い方で、具体的な数字が示されているわけではありません。

進路は、大きく二つに割れます。推薦で系列大学へ進む層と、他大学を受験する層。どちらもそれぞれ相当数いる、というのがこの学校の出方です。

核心はここです。一定の条件のもとであれば、成城大学の推薦権を手元に残したまま、外の大学を受けにいけます。学校自身が二度にわたって明記している構造です。外を受けるために、系列大学の椅子を先に返す必要がない、ということです。

高2からのコース分けも、その構造に対応しています。系列大学へ進むA、他大学受験をめざすB(文系)とB(理数)の3つ。各コースに多様な選択科目が用意され、進路や興味に合わせて組めます。その前段の高1は、ほぼ共通の科目を履修して基礎学力の充実にあてる年です。

出口の側を見ると、卒業したその春のうちに4年制の大学へ進む形が多数派です。もう一年かけて志望を通そうとする層は、この学校では少数です。指定校推薦の枠も用意されていますが、位置づけとしては選択肢のひとつです。

推薦の基準や条件、コースの編成は年度によって変わります。現在の内容は学校配布資料や面談でご確認ください。

だから、こう設計します

6年の設計は、高1の4月を起点に組みます。理由は単純で、推薦の土台になる「高校3年間の成績」がそこから始まり、コースを選ぶ高2はその1年後だからです。

そのうえで、この学校の設計には気楽な面と、ひとつだけ厳しい条件があります。

気楽なほうから。推薦の権利を残したまま外を受けられるので、中学のうちに「系列か、外か」を決め切る必要がありません。両方を見据えたまま高2まで進めます。中1・中2で進路の話を詰めても、材料がそろわないぶん結論は動きます。急いで一本に絞るより、どちらも選べる状態のまま学年を上げるほうが、この学校の作りには合っています。中3の選択授業から高2のコース分けまで、選ぶ練習は課程に段階的に置かれています。

厳しいほうは、その裏側です。どちらを選ぶにしても、足元を支えているのは同じ一本の柱——高校の評定です。Aを選ぶなら基準に届く評定が要ります。Bを選ぶ場合も、推薦権を安全網として残しておくなら、やはり同じ評定が要ります。評定が崩れたとき、先に消えるのは安全網のほうで、手元には他大学受験の一本道だけが残ります。「外を受けるつもりだから評定は二の次」という組み方が、この学校ではいちばん高くつきます。

では中学の3年間で何をしておくか。答えは進路の決定ではなく、高1から評定を取り続けられる状態のまま高校に上がることです。中身は三つに絞れます。範囲が示された試験で、計画どおりに点を取り切れること。提出物が期日に間に合うこと。数学と英語に、学年をまたいで持ち越した穴がないこと。この三つがそろっていれば、高2でどちらのコースを選んでも足元は崩れません。

正直に申し上げると、それができているご家庭は、今は塾を急ぐ必要がありません。学校の授業と家での復習が一週間のなかで一巡していて、定期試験でも崩れていないのなら、外から枠を足したところで時間が減るだけです。

塾を検討する価値が出てくるのは、この回し方が続かなくなったときです。同じ単元の直しが何週も居座る、試験前に手が回らず提出物のほうで削られる、高1に上がって評定の付き方が読めなくなった——そうした場面で、崩れている教科だけを、期間を区切って立て直す。リープエンジンでも、成城学園のご家庭とは「どのコースを選ぶか」より先に「高1からの評定をどう守るか」から話を始めています。

成城学園の6年間を、見通しを持って

成城学園は、創立以来の「個性尊重」を柱に、「教育の理想を求め続けて、現代に花開く総合学園」を掲げてきた学校です。遠泳と登山を6年の前半に置き、国語に英語に次ぐ厚みを与え、中1・中2には書写の時間まで取る。体験と表現に時間を使う学校、という像は、時間割からも行事からも一貫しています。

その一方で、進路の作りはきわめて実務的です。高校3年間の成績が一定の基準に達すれば系列の成城大学へ推薦され、一定の条件のもとでなら、その権利を握ったまま外も受けられる。選択肢を最後まで二つ持ったまま進める作りです。

家庭の側で守っておきたいのは、両方を見据えるという構えを崩さないまま、高校の評定という一本の柱だけを毎年たしかめ続けることです。中学のあいだに行き先を決めきる必要はありません。決めるべき時期が来たときに、どちらでも選べる状態でいる。その状態を保てなくなった時期にだけ、リープエンジンを手伝いに呼んでいただければ十分です。

一方、成城学園初等学校に通っている段階のお子さんについては、小学5年生からお引き受けしています。小学校の学習を見ながら、小5・小6の2年で中学からの英語・数学に備える土台を作る、準備のためのプログラムです。

文責:リープエンジン編集部 ・ 最終更新 2026-07-31