中高一貫校生のための難関大受験塾
「明日雨が降ったら」と言うとき、頭の中ではもう雨が降っている
以下の記事は、主任講師の吉江が実際の授業を見学し、また授業動画を見直して、ふだんの授業の一場面を記録したものです。当塾の雰囲気をお伝えできれば幸いです。
相談学習で、英語のO先生と塾生が文法の問題を一問ずつ解いていました。
問題は、「もし明日雨が降れば、私は家にいます」を英語にする選択問題でした。If it ( ) tomorrow, I will stay home. の空所に、rains を入れるか、will rain を入れるか。塾生は will rain を選びました。
O先生が理由を聞くと、塾生は「明日の雨のことなので、未来だから」と答えました。
「いい間違いですね。普通に考えたら will ですよ」とO先生は言いました。ただ、正解は rains です。英語には次の決まりがあります。
時や条件を表す副詞節の中では、未来のことでも現在形で表す。
学生のころ、呪文のように唱えて覚えた方も多いと思います。O先生もまず早口で一度唱えてみせてから、聞き覚えがあるかを塾生に尋ねました。塾生の答えは「うっすら」でした。
そこからO先生は、この呪文を言葉一つずつに分けていきました。
最初は「副詞」です。O先生が「副詞の『副』って、日本語ではどういうときに使いますか」と聞くと、塾生は「2番目?」と答えました。副キャプテンの副です。O先生の説明はこうでした。ほかの言葉を詳しくする言葉のうち、1番手が形容詞で、名詞を詳しくします。2番手の副詞は、名詞以外を詳しくします。
次は「節」です。O先生に「節分の節ですかね。何だと思います?」と聞かれて、塾生は「区切れてる?」と答えました。O先生はそれを受けて、主語と動詞を含んだひと区切りのことだ、と補いました。
ここで問題の文に戻ります。If it rains tomorrow の部分は、主語の it と動詞の rains を含んでいるので「節」です。この部分が詳しくしているのは「家にいます」のほうで、名詞ではありません。だから「副詞節」です。if は条件を表すので、合わせて「条件を表す副詞節」になります。これで、呪文の前半は意味の分かる文になりました。

(写真は同じ日の、O先生の別の授業から)
残っているのは、呪文の後半です。明日のことなのに、なぜ現在形なのか。
O先生は塾生に聞きました。「明日、晴れだったらどこに行きます?」
塾生は少し考えて、「ディズニーランド」と答えました。
「いいね、大きく出ましたね」とO先生。「じゃあ、誰かに『明日雨が降ったら、ディズニーランドはやめて家にいない?』と言うとします。そう言っているとき、頭の中で、雨は降っていますか。降っていませんか」
「降ってる」と塾生が答えます。
「降ってるよね。『雨が降ったら』と言うときは、降るだろう、ではなくて、もう降っている前提で考えている。だから現在形にしましょう、という説明があります」
「明日は雨が降るだろう」と予想する文なら、will を使います。「雨が降ったら」のほうは予想ではなく、雨の降っている明日をいったん頭の中に置いて、その上で「家にいる」と言っています。O先生が見せたのは、決まりをこの場面ごと覚える方法でした。
O先生は、さっきの呪文は言えたほうがいいと言って、塾生と一緒にゆっくり唱え直しました。
授業はそこから別の問題へ進み、勉強の計画の相談もあって、30分あまりが過ぎました。終わりぎわに、O先生が前置きなしに聞きました。
「if のあとの決まり、言えますか」
塾生は「条件を表すときは、未来のことを現在形で書く」と答えました。O先生が「節って何でしたっけ」と重ねると、「SVがあるやつ」。Sは主語、Vは動詞のことです。
will rain を選んだとき、塾生の理由は「未来だから」でした。30分あまりたって、塾生は同じ問題の決まりを自分で言い、「節」とは何かも答えています。
O先生は「大いによろしい。完璧ですね」と言って、次の確認に移りました。