武蔵高等学校中学校
「自ら調べ自ら考える」の6年間――武蔵の学びの形
武蔵高等学校中学校は、東京都練馬区豊玉上(江古田駅・新桜台駅・新江古田駅から徒歩圏)にある私立の男子校です。同じ「武蔵」を名乗る都立武蔵高等学校附属中学校とは別の学校なので、まずここを区別してお読みください。校内に川が流れ、人工芝のサッカー場や野球場のある緑豊かなキャンパスを、同じ学校法人(根津育英会武蔵学園)の武蔵大学と隣り合って構えています。
武蔵の教育を貫くのは、建学以来の三理想のひとつ「自ら調べ自ら考える力ある人物」――いわゆる自調自考です。授業は検定教科書にとらわれず、精選されたオリジナル教材を駆使して展開されます。国語では読解力の養成、数学では代数・幾何の演習、社会では学び方や調べ方の習得、理科では実験、英語では読解に加えて発信力と、教科ごとに「何を鍛えるか」がはっきりしています。3学期制・平日50分×6時限(週1日は7時限・登校8時20分・下校18時00分)、土曜にも50分×4時限の授業が置かれる週6日制。少人数制の授業を導入してきめ細かく指導しますが、注意したいのは、この分割が習熟度別ではないことです。1クラスを2つに割った20名程度の少人数で、全員に密度の高い学びを届けるという思想であり、「クラス分けの競争で引っ張る」タイプの学校ではありません。
つまり武蔵は、「与えられたレールを速く走る」のではなく「自分で問いを立てて掘る」ことに全体重を掛けた設計です。この自由度の高さが、家庭学習の設計にそのまま跳ね返ってきます。
武蔵の数学カリキュラムとつまずきやすいポイント
オリジナル教材で進む、代数・幾何の「演習」
武蔵の数学は、代数・幾何の演習を重視する構成で、オリジナル教材を軸に進みます。中1・中2で勉強への取り組み方と基礎学力を身につけ、中3・高1で学力の伸長を図り、高2・高3では選択科目を大幅に取り入れて高度な演習を行う――という6年の流れです。文系・理系の選択が本格化するのは高2からで、数学・理科の選択科目を通じて自分の進路に沿った時間割へ移っていきます。
「演習重視」の学校で起きやすいのは、答え合わせが「合っていた・いなかった」の確認で終わることです。武蔵の数学は、解き方の過程を自分の頭で組み立てることを求めるので、演習の価値は「なぜその方針で解けるのか」を言語化できたかどうかで決まります。また、オリジナル教材は市販の問題集と単元の並びが一致しないため、家庭で教材を足すときは「学校のどの単元を、どの深さで補うか」を先に決めないと、かみ合わない勉強になりがちです。
数学でよくあるつまずき
- 演習の量はこなしているのに、方針を立てる力が伸びず「初見の問題で手が止まる」
- オリジナル教材と市販教材の対応が取れず、補強の勉強が二度手間になる
- 習熟度別のクラス分けがないぶん自分の位置が見えにくく、穴の発見が遅れる
リープエンジンでのサポート(数学)
- 武蔵の6年の流れ(中1・2基礎→中3・高1伸長→高2・3高度な演習)に沿って、学年ごとの到達目標を共有
- 演習の復習を「方針の言語化」まで含めた型にして、初見対応力に変換
- オリジナル教材を単元別に整理し、市販教材との対応表を作って補強のムダを削る
武蔵の英語教育の特徴と対策
読解と発信力、そして第二外国語と国外研修へ
武蔵の英語は、読解力だけでなく発信力の向上を重視する設計で、少人数の英語は中1から高2まで置かれ、GTECは中1〜高2の全員が受検します。そして武蔵の語学教育をもっとも特徴づけるのが、中3の第二外国語です。総合学習として、ドイツ語・フランス語・中国語・韓国朝鮮語から選択して学び、さらに上級履修者から選考された10数名は、国外研修制度によりドイツ・オーストリア・フランス・イギリス・中国・韓国へ約2か月派遣されます。提携校からも毎年10数名が来日して武蔵の授業を受ける、双方向の交換制度です。
英語そのものについて言えば、「発信力重視」の授業を活かす土台は語彙と構文の基礎体力です。発信の授業は楽しめるのに読解が伸びない場合、原因はほぼ語彙量と精読の不足にあります。語彙は、見てすぐ意味が取れる状態を先に量で仕込み、綴りや表現は後回しでかまいません。第二外国語が入る中3は英語の週時間数がやや絞られる時期でもあるので、この学年で英語の自走ペースを落とさないことが、高校での伸びを守ります。
英語でよくあるつまずき
- 発信活動には積極的なのに、構文を正確に取る精読が浅く、長文で伸び悩む
- 中3で第二外国語に興味が移り、英語の語彙・文法の積み上げが薄くなる
- GTECなどのスコアと定期テストの点が連動せず、何を直せばよいか見えなくなる
リープエンジンでのサポート(英語)
- まず語彙。覚え方を「見てすぐ意味」優先に組み替え、読解の失速を語彙面から立て直す
- 意味のまとまりごとに区切って読む練習で、構文を正確に取る精読の型を作る
- 学校の発信型の学びを、受験レベルの読解・英作文に橋渡しして二重投資を防ぐ
武蔵の定期テストと、6年間を見通した学習計画
武蔵の学校生活は、教室の外の学びが厚いことで知られます。中1の山林遠足(埼玉・毛呂山町に学校山林があります)、山登りを行う山上学校、地学巡検、天文実習と、本物に触れる校外学習が学年ごとに置かれ、生徒が主体的に運営する記念祭(文化祭)・体育祭・強歩大会が三大行事として続きます。授業もレポートや調べものの比重が高いので、定期テスト対策は「試験前の詰め込み」ではなく、日常の回し方の設計がすべてです。
「自分で調べる」文化と両立する家庭学習の型
- 授業で扱った内容は週内にひと通り復習する。とくにオリジナル教材は再入手や体系的な見直しがしにくいので、配布物の整理(配布日・単元・重要度)を復習の起点として死守する
- 範囲勉強は3巡を基本に。まず全体をひと通り、次は×印の付いた問題だけ、最後に総ざらい。最初のひと通りは試験の2週間前までに済ませる
- レポート・調べもの課題は、締切から逆算して「調べる日」「書く日」を分ける。武蔵の課題は一夜で仕上がる型のものが少ないからです
部活は約30の部・同好会があり、多くは中高合同で、参加は自由です。ここにも武蔵の思想が出ています。「全員参加で管理する」のではなく、自分で選び、自分の意思で続ける。生徒の自主的な研究活動やボランティア活動を支援する国内活動チャレンジ奨励の制度もあり、学校の外に向かう活動が背中を押される環境です。だからこそ、時間の使い方の設計だけは家庭で一度、本人と言葉にしておく価値があります。
指名制・希望制の講習を「サイン」として使う
武蔵では長期休業中に、中1・2の指名制と、中1〜高3の希望制の特別講習が置かれています。指名制の講習に呼ばれたら、それは学校からの「この単元で立て直しを」というサインです。呼ばれた学期のうちに穴を埋め切ることが、自由度の高い高2・高3の選択科目制を活かす前提条件になります。
武蔵の進路設計――在学中の進路の組み立て
これは、武蔵にお子さんが通われているご家庭に向けた、在学中の進路設計の話です。
進路の“形”をどう読むか
武蔵の進路は、難関国立大と早慶をはじめとする難関私大に厚く、医学部に進む生徒も毎年いる形です。同時に、武蔵らしさとして知っておきたいのは、第一志望を譲らず、翌年に懸ける選択をする層がかなりの厚みで存在することです。早く決め切る生徒と、時間をかけてでも行きたい大学を取りにいく生徒が拮抗して並ぶ――「志望を下げて早く決める」文化ではない、ということです。指定校推薦の枠も一応ありますが、位置づけは軽い保険にとどまります。なお、この“形”も年度によって変わります。具体の数字は学校の公式資料でその都度ご確認ください。
だから、こう設計します
武蔵の学びは、「考える力」を6年かけて育てる設計です。これは記述・論述で答えさせる難関国立大の受験と本質的に相性が良い。ただし、自調自考の環境は「自分で管理して積み上げる」ことが前提です。高2からの選択科目中心の時間割は、基礎に穴がない生徒には最高の演習環境ですが、穴がある生徒には「何を選べばいいか分からない」自由になります。だから設計の要は、高1までに英数の基礎を全国基準で仕上げておくこと。校内に順位競争の物差しが少ないぶん、全国の物差しでの現在地を定期的に確かめる機会を、家庭側で意識的に持つ価値があります。
「今は塾を急がない」という選択も、正直にお伝えします
武蔵の授業とオリジナル教材に正面から付き合い、レポートも演習も自分の型で回せているなら、外から枠を足す必要はありません。むしろ武蔵の6年間は、自分で調べて考える時間をたっぷり取ることにこそ価値があります。塾の出番は、演習の答え合わせが「作業」になってきたとき、自由度の高さの中で学習の優先順位が定まらなくなったとき、全国基準での現在地が長く確認できていないとき――「自調自考を成果につなぐ軸」を必要な分だけ補うときです。
武蔵の6年間を、自分で考え抜く力と確かな学力に
武蔵(東京都練馬区豊玉上1-26-1)は、オリジナル教材・第二外国語・国外研修・厚い校外学習と、独自性の強い教育を貫く学校です。この環境で育つ「自ら調べ自ら考える」力は、一生ものの財産になります。
リープエンジンは中高一貫校を専門とする伴走役として、武蔵の授業設計(教科書にとらわれないオリジナル教材・演習重視の数学・発信力の英語)を踏まえ、「いつ・何を・どのレベルまで仕上げるか」を具体的に設計します。武蔵の自由な6年間が、深く考え抜く習慣と難関大に通用する学力の両方を残す時間になるよう、外の力は「必要な分だけ」を原則に、賢く組み合わせていきましょう。