山脇学園中学校・高等学校

学びの「場所」が建っている学校で、6年間をどう設計するか

山脇学園中学校・高等学校(東京都港区赤坂4-10-36)は、「まるい心と気高い志を育み、人生を歩む礎となる6年間」を掲げる女子校です。地下鉄丸ノ内線・銀座線「赤坂見附駅」から徒歩5分、千代田線「赤坂駅」から徒歩7分と、都心の複数路線からアクセスしやすい立地で、通学圏は東京23区が74%、神奈川・千葉・埼玉からも通う生徒がいます。

この学校の性格をひとことで表すなら、「学びの場所が、分野ごとに建っている学校」です。英語コミュニケーションのためのイングリッシュアイランド、科学的探究のためのサイエンスアイランド、そして6万冊の蔵書を持つラーニングフォレスト。教科の学びに、それぞれ専用の空間が用意されています。文科省のSSH指定校でもあり、人文・社会・自然科学を融合させた「総合知カリキュラム」を、こうした施設を土台に展開しています。中1・2の「サイエンティストの時間」、データサイエンスの基礎や社会調査を学ぶ中3の「探究基礎」といった独自の授業も、この環境あってのものです。

一方で、時間の枠はきちんと確保されています。3学期制、50分×6時限、登校8:15、土曜も通常授業が50分×4時限ある週6日制。琴やダンス、礼法、華道などの授業で感性を磨く「心の教育」の時間も組み込まれています。つまり山脇の6年間は、探究や情操の時間が豊かなぶん、主要教科の学習を「いつ・どこで固めるか」を意識しておかないと、忙しさの中で足元が緩みやすい設計でもあります。ここでは、数学・英語のカリキュラム、定期テストへの向き合い方、そして進路設計までを、実務目線で整理します。

山脇学園の数学カリキュラムと、押さえておきたいポイント

「無理・無駄のない先取り」で、中3終了時に高1相当まで

山脇の数学は、週あたり中1〜中3とも5コマ。6年間の一貫教育体制を生かした「無理・無駄のない先取り教育」を掲げ、中3終了時には高1相当まで進みます。これは英・国・社・理も同様で、主要5教科がそろって1年分先を歩く形です。主要5科の3年間合計は71コマ(公立の課程は55コマ)と、時間量そのものが公立よりはっきり厚く取られています。

先取りのペース自体は、進度が極端に速い学校と比べれば「一歩先」を着実に進むタイプです。ただし、一歩先であっても先取りは先取りです。中学範囲のどこかに穴を残したまま高校内容に入ると、「どこから戻ればいいのか」が本人にも見えにくくなります。数学は少人数授業が中3に、習熟度別が高2・3に置かれており、授業の側にも刻みがありますが、日々の定着の主戦場はやはり定期テストごとの積み上げです。

数学でよくあるつまずき

  • 週5コマの授業量に対して復習が薄くなり、「授業では分かったのに、テストで手が動かない」状態になる
  • 探究活動や行事・部活で週の可処分時間が読みにくく、数学の周回が後回しになる
  • 中3で高校内容に入る手前で中学範囲の穴が残り、高2の文理選択時に響く

リープエンジンでのサポート(数学)

  • 「中3終了時に高1相当」という山脇の進度を前提に、学年ごとの到達目標を設定して共有
  • 定期テストごとに「解ける/解けない」の判定を正確にする周回の型(後述)を家庭学習に接続
  • 高2からの習熟度別・選択制を見据え、中学範囲の穴を早期に検出して埋める

山脇学園の英語教育の特徴と対策

中1からの5段階グレード別――速度が細かく刻まれる環境の意味

山脇の英語は、週6コマ(各学年とも1時間の英会話を含む)と主要5科で最も厚く、しかも中1から5段階のグレード別授業で進みます。5段階という刻みは、かなり細かい部類です。習熟度別も英語は中1から高3まで一貫して敷かれており、イングリッシュアイランドという専用施設もある。英語をこの学校の看板に据えていることが、時間割からも設備からも読み取れます。

5段階のグレード別には、はっきりした利点があります。自分の現在地に合った速度で授業が進むので、「授業が速すぎて置いていかれる」「易しすぎて退屈する」のどちらも起きにくい。中3ではほぼ全員が英検を受検する流れもあり、外部の物差しに触れる機会も組み込まれています。

一方で、保護者の方に知っておいていただきたいのは、グレードはあくまで「校内の物差し」だという点です。細かく刻まれているぶん、いま自分がどの段に居るかが本人にはよく見えます。それ自体は健全ですが、上の段に居る安心も、下の段に居る焦りも、そのまま全国の物差しと同じではありません。大学受験で問われるのは校内のグレードではなく、読める語彙の量と、構文を正確に取る力です。グレードの上下に一喜一憂するより、「見た瞬間に意味が出る単語」を量で積むこと、本文を構文レベルで読み切ることを、どの段に居ても淡々と続けるのが本筋です。

英語でよくあるつまずき

  • グレードの昇降に気持ちが揺れ、日々の単語・音読の積み上げが途切れる
  • 英会話・コミュニケーション活動には積極的だが、精読と文法の詰めが浅くなる
  • グレード判定を意識するあまり小テストの綴り対策に時間を寄せ、「見て意味が出る」語彙の総量が積み上がらず、長文で失速する

リープエンジンでのサポート(英語)

  • 単語は「見て意味が出る」を先に、綴りは後から――という覚え方の型を家庭学習に接続
  • 本文を意味のかたまりで区切り、音読→構文→要約の順で「読める」を「解ける」に変換
  • グレードという校内の物差しと並行して、受験基準での現在地を定期的に確認

定期テストと6年間の学習設計──探究の時間と両立させる

山脇の6年間は、サイエンティストの時間や探究基礎、琴・礼法・華道といった情操の授業、体育祭・山脇祭・合唱祭の三大イベント、36の部・同好会と、教科学習の外側にある時間が豊かです。中2希望者のブリティッシュヒルズ研修や、イギリス・オーストラリアなどへの海外研修・留学の機会(希望制・希望選抜制)まで含めると、「何にどれだけ時間を使うか」の選択肢がとても多い学校だと言えます。

だからこそ、定期テストを軸にした学習の型を早めに固めておくことが効きます。時間の使い方が多彩な学校ほど、「テスト前だけ頑張る」方式は破綻しやすいからです。

家庭で運用できる形にすると、こうなります

  • 丸付けは1問ごとでなく大問単位でまとめて行い、「解けた/解けなかった」の判定を正確にする
  • 試験範囲は3周を目安に回す。1周目で全体、2周目は間違えた問題だけ、3周目で最終確認
  • テスト2週間前に「範囲の1周が終わっている」状態を作る。探究や行事で週の負荷が変動する学校では、この前倒しがそのまま保険になります
  • 長期休暇中の講習は各学年とも希望制。学期中に埋めきれなかった穴を計画的に埋める機会として、受け身でなく目的を決めて使う

英語のグレード別・数学の習熟度別と、授業の側に速度の調整弁がある学校です。家庭側の仕事は速度を上げることではなく、いま受けている授業の内容を、その週のうちに定着させる回転を守ることです。

山脇学園の進路設計──高1の3コース選択を、どう迎えるか

これは、山脇にお子さんが通われているご家庭に向けた、在学中の進路設計の話です。

進路の“形”をどう読むか

山脇の卒業後の進路は、4年制大学へ現役で決めきる形がはっきり定着しています。併設高への進学率は約93%で、6年間を通して大学受験へ向かう流れが基本線です。指定校推薦の枠も難関私大を含めて一定ありますが、進路の本線はあくまで一般受験と考えて設計するのが実務的です。推薦は「本線の学力が仕上がっていた結果、選択肢として現れるもの」と捉えるのが安全です。なお、こうした進路の“形”は年度によって動きますので、実際の数字は学校配布資料や説明会でご確認ください。

最初の分岐は、高1の3コース選択

山脇の進路設計でいちばん大きな節目は、高1のリベラルアーツ・国際教養・サイエンスの3コース選択です。その後、高2から文理別の選択制カリキュラムに移行し、受験科目の授業はすべて習熟度別になります。高3ではさらに科目選択の自由度が上がる――つまり、学年が上がるごとに道が絞られていく設計です。

ここから逆算すると、中学のうちにやるべきことは明快です。3つのコースのどれでも選べる状態を保っておくこと。具体的には、数学と英語に穴を作らないことです。サイエンスに進むなら数学は当然として、リベラルアーツ・国際教養でも、受験で数学を持てるかどうかで選べる大学の幅は大きく変わります。中3までに「数学が嫌いだから文系」という消去法の選び方に追い込まれないよう、中学の3年間で数英の土台を固めておく――これが山脇の6年間の背骨になります。

「今は塾を急がない」という選択も、正直にお伝えします

山脇は、速度の調整が授業の側に組み込まれた学校です。英語は中1から5段階のグレード別、高2からは受験科目のすべてが習熟度別。長期休暇には希望制の講習もあります。自分の現在地に合った授業を受けられる仕組みが校内にあるのですから、定期テストごとの積み上げが回っていて、グレードや習熟度のクラスでも手応えが安定しているなら、外から急いで枠を足す必要はありません。

塾の出番は、その回転が崩れてきた時です。探究や行事、部活で数学の周回が止まった、英語のグレードの物差しと全国の物差しのずれを確認したい、高1のコース選択を前に数学をどうするか迷っている――そんな時に、必要な部分だけを立て直す形で使えば十分です。

山脇学園の6年間を、将来につながる学びに

イングリッシュアイランド、サイエンスアイランド、ラーニングフォレスト。学びの場所が分野ごとに建っている環境は、知的な興味の入口としてとても豊かです。その豊かさを大学進学という結果につなげる鍵は、専用施設のない教科学習の側――毎週の数学と英語の定着を、6年間淡々と守り続けることにあります。

リープエンジンは、中高一貫校専門の伴走役として、山脇の設計(中3終了時に高1相当の進度/英語の5段階グレード別/高1の3コース選択と高2からの習熟度別)を踏まえ、「いつ・何を・どのレベルまで仕上げるか」を具体的に設計します。豊かな環境を、確かな進路につなげていきましょう。

文責:リープエンジン編集部 ・ 最終更新 2026-07-31