横浜共立学園中学校・高等学校
平日に濃く積んで、土曜は行事とクラブに渡す──横浜共立学園の6年間
横浜共立学園中学校・高等学校は、横浜・山手の丘に立つキリスト教主義の女子校です。1871年、3人のアメリカ婦人宣教師によって創立された伝統校で、1931年落成の本校舎は横浜市指定有形文化財の第1号。窓の形が印象的な校舎は、この学校の歴史をそのまま体現しています。2022年にはグラウンドや校舎の改修も完了しました。なお、東京・千代田区の共立女子中学高等学校とは別の学校です。名前が似ているため混同されがちですが、成り立ちも場所もまったく異なります。
高校からの募集はなく、中高6年間の一貫体制。併設高への進学率は約95%で、ほとんどの生徒が6年間を同じ環境で過ごします。「聖書」の授業や毎日の礼拝をはじめとするキリスト教教育により、他者を思いやり、奉仕する心を育む──これが学校の掲げる人格教育の土台です。
学習面でこの学校を理解する鍵は、時間割の設計にあります。横浜共立は「土曜は各土曜とも授業は行わず、学校行事やクラブ活動、課外授業などにあてる」週5日制。その代わり、平日は50分(冬は45分)×7時限(月・金は6時限)と長く、学期は2期制です。つまり、平日に授業を濃く積み、土曜をまるごと行事とクラブに渡す──この配分が横浜共立の時間設計です。学校自身も「週5日制だが、2期制や7時限授業などを取り入れており、授業進度は速い」と説明しており、実際に中2でほぼ中学課程を終えます。土曜に授業がないから進度がゆるやか、ということはありません。ここを取り違えると、家庭学習の置きどころを誤ります。
以下では、この時間設計を軸に、数学・英語のつまずきどころ、定期テストとの向き合い方、在学中の進路設計までを実務目線で整理します。
横浜共立の数学──小テストが「定着の点検」を先回りしてくれる設計
中2でほぼ中学課程を終える速さと、小テストの網
横浜共立のカリキュラムは、高校募集のない中高一貫体制のもと、6年間を3段階に分けて編成されています。最初の段階では学習習慣の確立と基礎の徹底をはかり、中2でほぼ中学課程を終える。数学の週あたりのコマ数は中1で4、中2・中3で5と積み上がり、主要5科の3年間合計は71コマ(公立の課程は55)です。週5日でこの量ですから、平日1日あたりの密度は相当なものです。
そのうえで注目したいのが、「数学では小テストをまめに行って学力を定着」させるという学校の説明です。これは保護者の方にとって、実はとても読み取りがいのある一文です。小テストがまめにあるということは、「授業を聞いて分かったつもり」と「自力で解ける」のずれを、学校の側が定期的に点検してくれるということ。定着の確認が授業の仕組みに組み込まれているのです。
数学でよくあるつまずき
- 小テストの直前だけ詰めて乗り切り、単元テスト・定期テストの段階で穴が見つかる(小テストは点検であって、勉強の代わりではない)
- 進度が速いため、一度つまずいた単元を「そのうち」と後回しにすると、次の単元がその上に積まれてしまう
- 7時限の平日は帰宅後の時間が短く、その日の復習が翌日以降に流れて雪だるまになる
リープエンジンでのサポート(数学)
- 小テストの結果を「合否」でなく「どの型の問題で落としたか」で読み、つまずきの単元を特定してから戻る
- 中2でほぼ中学課程を終える進度に合わせ、学年ごとの到達目標を設定して家庭と共有
- 平日の短い時間でも回る復習の型(その日のうちに解き直す問題を絞る)を一緒に設計
横浜共立の英語──中1からの2分割英会話と、厚いコマ数
週6コマの英語を「読める」につなげる
英語のコマ数は中1・中2で週6、中3で週5。3年間合計17コマは主要5科で最も厚く、各学年に1時間の英会話が含まれます。英会話は中1から外国人教師が1クラス2分割で行う少人数制で、学校の説明にも「きめ細かな指導」とある通り、聞く・話すの土台を早くから丁寧に作る設計です。
厚いコマ数の学校で気をつけたいのは、授業と宿題をこなすことがそのまま英語力になる、とは限らない点です。英単語は、まず「見た瞬間に意味が出てくる」状態を量の反復で作るのが先で、綴りを書ける状態に仕上げるのはその後で構いません。小テストや提出物に追われて「書く練習」ばかりが先行すると、長文を読む体力が育ちにくくなります。
英語でよくあるつまずき
- 宿題・小テストの消化が目的化し、本文の精読(構文・内容理解)が浅くなる
- 単語を綴り中心に覚え、「見て意味が出る」語彙量が不足して長文で失速する
- 英会話の授業には慣れているのに、文法を筋道立てて説明する力が伴わない
リープエンジンでのサポート(英語)
- 宿題・小テストの消化で通り過ぎた本文にもう一度戻り、構文をとって音読・要約まで畳み、「読める」を「解ける」に引き上げる
- 単語は「見て意味が出る」を先に、綴りは後から──という覚え方の型を家庭学習に接続
- 学校の英語と受験レベルの長文を橋渡しし、学校の勉強がそのまま受験基礎になるよう整える
定期テストと6年間の学習設計──2期制と週5日制をどう乗りこなすか
横浜共立は2期制です。3学期制の学校と比べて定期テストの区切りが少ないぶん、1回のテストが背負う範囲は広くなります。範囲が広いテストでは、直前の数日で全体をさらう作戦が構造的に成立しにくい。これは裏を返せば、日々の小テストや授業の復習をその都度きちんと畳んでおく生徒ほど有利になる、ということです。横浜共立の場合、数学のまめな小テストがちょうどこの「畳む」機会として機能します。小テストのたびに穴をふさいでおけば、定期テスト前にやることは「広い範囲の総ざらい」ではなく「すでに畳んだものの確認」に変わります。
もうひとつの変数が土曜日です。土曜に授業がない週5日制は、家庭学習にとって大きな余白ですが、この学校の土曜は行事とクラブのための日でもあります。30をこえる部・同好会は中高合同で活動し、YWCA、KJGクワイヤー、ハンドベルクワイヤーといった宗教系の活動との兼部も可能。ページェント(聖誕劇)をふくむクリスマス礼拝、収穫感謝礼拝、秋桜祭(文化祭)、運動競技大会と、キリスト教を土台とした行事も一年を通じて豊かです。つまり土曜は「空いている」のではなく「学校生活のもう半分が入っている」日。だからこそ、テスト前だけ土曜に頼る計画ではなく、7時限の平日のどこに復習を差し込むかを先に決めておくことが、この学校の時間設計に合った勉強の組み立てになります。
長期休暇には講習があり、中学は指名制、高2・3は希望制です。中学の講習が指名制であることは、つまずきが出た生徒を学校の側から拾いにいく仕組みがある、ということでもあります。
横浜共立の進路設計──「発見の2年」を挟んでから、3類型で分かれる
これは、横浜共立にお子さんが通われているご家庭に向けた、在学中の進路設計の話です。
カリキュラムの形をどう読むか
横浜共立の6年間には、はっきりした特徴がひとつあります。中3・高1を「各自の適性を発見する時期」とし、全員が共通科目を履修して学力の充実に努める──つまり、文理の分岐の手前に「発見の2年」が置かれているのです。そのうえで高2から文系・理系あわせて3類型に分かれ、大幅な科目選択制に入り、高3では選択科目をさらに増やして、授業は入試問題の演習が中心になります。中2までに中学課程をほぼ終える速さは、この「共通で学ぶ2年」と「演習で仕上げる2年」の時間を作るためのもの、と読むことができます。
進路の形としては、卒業生の9割以上が4年制大学へ進む、現役で決めきるのが基本の学校です。指定校推薦の枠も難関私立大を含めて持っていますが、これは「推薦で行く学校」という意味ではなく、一般受験を本線に置いたうえで選択肢が複数ある、と捉えるのが実態に近いでしょう。この形も年度ごとに変わりますので、実際の数字は学校の配布資料や説明会で直接ご確認ください。
だから、こう設計します
分岐が高2に置かれている以上、勝負を分けるのは中3・高1の共通履修期です。この2年間は全員が同じ科目を学ぶため、「文系に進むから数学はもういい」という逃げ道が制度上ありません。ここで数学・英語の土台を全国基準で固めておけるかどうかが、高2の類型選択を「消去法」でなく「選択」にできるかを決めます。文理を決める場面では、校内の得意・不得意だけでなく、全国の物差しに置き直した現在地を材料にすることをおすすめします。校内でやや苦手でも、全国では十分戦える位置にいる、ということは珍しくありません。
「今は塾を急がない」という選択も、正直にお伝えします
横浜共立は、数学のまめな小テストで定着を日常的に点検し、中学の長期休暇講習は指名制でつまずいた生徒を拾いにいく──学校の中に、崩れを検知して支える仕組みを持った学校です。小テストで安定して取れていて、平日の復習の型が回っているなら、外から急いで枠を足す必要はありません。それが正直なところです。
塾の出番は、その仕組みの網目からこぼれ始めた時です。小テストは直前の詰め込みで乗り切れてしまうが定期テストで取れない、速い進度に復習が追いつかず穴の場所が自分でも分からない、高2の類型選択を前に数学をどうするか決めかねている──そんな時に、崩れた部分だけを立て直す形で足せば十分です。
山手の丘の6年間を、将来につながる学びに
横浜共立学園(横浜市中区山手町212・JR根岸線「石川町駅」元町口より徒歩10分)には、通学圏の9割以上を神奈川県内の生徒が占める、地元に根ざした6年間があります。平日に濃く積み、土曜を行事とクラブに渡す時間設計は、乗りこなせれば学びと学校生活の両方を豊かにしてくれます。
リープエンジンは、中高一貫校専門の伴走役として、横浜共立の設計(中2でほぼ中学課程/2期制・7時限/高2からの3類型)を踏まえ、「いつ・何を・どのレベルまで仕上げるか」を具体的に組み立てます。必要なところにだけ、外部の力を賢く使っていきましょう。