森村学園中等部・高等部
「進路指導」と「進学指導」の両輪で進む6年——森村学園の形
森村学園中等部・高等部は、神奈川県横浜市緑区長津田町にある共学の中高一貫校です。東急田園都市線のつくし野駅から徒歩5分、長津田駅からも徒歩13分と、田園都市線沿線の家庭には通いやすい立地で、実際の通学圏も神奈川県内が8割近くを占めます。1910年、明治時代の実業家で日米貿易の先駆者である森村市左衛門が「真に社会に役立つ人」の育成をめざして創立した学校で、いまは「イノベーションマインドで、人生を切り拓ける人へ」を掲げています。中1では創立者・森村市左衛門について学ぶ時間があり、建学の物語が日々の教育に生きている学校です。東京ドーム約1.8個分という広大な敷地の緑、5つの理科室を使った実験中心の理科教育も、この学校の顔と言えます。
もうひとつ、入学後の教室の姿として押さえておきたいのが、併設の初等部から上がってくる内進生が中1の半数近く(昨春約48%)を占めるという構造です。中学受験を経て入る側から見ると、すでに学校に馴染んだ級友と机を並べて6年が始まる、ということになります。
森村学園が学校として掲げる言葉に、それぞれが夢の方向性を探る中等部3年間の「進路指導」と、その実現に向けて学力を磨く「進学指導」の「両輪」があります。行き先を考えることと、学力を積むこと。この二つを分けて、両方をきちんと回す——このページでは、その「両輪」の設計を軸に、数学・英語の積み上げ方、定期テストへの向き合い方、在学中の進路設計までを実務目線で整理します。
森村学園の時間の枠——週6日制と、朝の読書10分
学習の話に入る前に、一日と一週間の枠を確認しておきます。森村学園は3学期制・週6日制で、平日は50分授業を6時限、土曜も50分×4時限の通常授業があります。登校は8時30分、下校は18時00分(水曜は15時50分、木曜・土曜は17時30分)が目安です。特徴的なのは、始業前の10分間を読書の時間としていることです。本の楽しみを知る時間であると同時に、心をしずめて1時間目にスムーズにつなぐ設計で、朝の10分が一日の学習のリズムを作っています。
主要教科の時間配分を見ると、週あたりのコマ数を中1から中3までの3学年分合計して、英語・数学はそれぞれ17コマ、5教科の合計は71コマ。同じ数え方で公立中学校の課程は55コマですから、はっきり厚く、とくに英語・数学に時間が割かれています。学校の説明にあるとおり、この豊富な授業時間で基礎学力を十分に養いながら「無理なく先取り学習」を進めるのが森村学園のカリキュラムです。中3終了時の進度は英・数・国・社・理いずれも高1相当まで。最難関の進学校のような急峻な先取りではなく、公立よりは確実に先を行く——この「無理のない先取り」という速度感が、家庭学習の設計の前提になります。
森村学園の数学——「無理のない先取り」を、穴のない積み上げに変える
森村学園の数学は、中1で週6コマ、中2で週5コマ、中3で週6コマと、一貫して厚い時間が確保され、中3終了時に高1相当まで進みます。高1では習熟度別のクラス編成が入り、高2からは文系・理系に分かれて、2コマ連続の110分授業と個別のプリント課題が導入されます。つまり6年の後半に向けて、授業の器が「全員で同じ内容」から「進路別・理解度別」へと段階的に切り替わっていく設計です。
この設計で保護者の方に押さえておいていただきたいのは、「無理のない先取り」は裏を返せば、途中の穴が見えにくい速度だ、ということです。急な先取りなら躓きはすぐ表面化しますが、一歩ずつ先へ進む課程では、中2あたりの理解の浅さが目立たないまま持ち越され、高1の習熟度別編成や高2の文理選択のところで初めて形になって現れる、ということが起こりえます。定期テストのたびに「解けなかった問題がどの単元に根を持つか」を確認し、必要なら学期の切れ目でさかのぼって埋めておく。この地味な点検が、高2からの110分授業——長い時間をかけて演習し、個別課題で仕上げる段階——を活かせるかどうかを分けます。
数学でよくあるつまずき
- 「無理のない」進度ゆえに躓きが表面化しにくく、穴を持ったまま高校内容に入る
- 週5〜6コマ分の授業の復習が回りきらず、テスト前の詰め込みで乗り切る癖がつく
- 高2の文理選択・110分授業への切り替わりで、それまでの積み残しが一気に効いてくる
リープエンジンでのサポート(数学)
- 中3終了時=高1相当という進度を前提に、学年ごとの到達目標を家庭と共有
- 定期テストの失点を単元別に分解し、「どこまで戻って埋めるか」を学期ごとに判断
- 高2からの文理別カリキュラムを見据え、高1までの共通課程のうちに土台を固める
森村学園の英語——Language Artsとルート別授業という「言葉の設計」
森村学園の英語を語るとき、英語だけを見ていると半分しか見えません。この学校は、世界標準の母語教育「Language Arts」で論理的・批判的思考力を身につける授業を実施しています。母語で考えを組み立てる力と、英語の運用力を、車の両輪として育てる——言葉の力そのものを日本語と英語の両面から設計している学校だと捉えると、カリキュラムの意図がよく見えます。
英語の器も特徴的です。中1・2の英語は学習歴に応じたルート別授業で、海外のテキストを用い英語のみで進めるクラスもあります。帰国生や英語の学習歴が長い子と、中学から本格的に始める子が、同じ教室で同じ授業を受けて互いに消化不良を起こす——という一貫校にありがちな問題を、入口の2年間で構造的に避ける設計です。中3では少人数制になり、時間数も中2から週6コマと厚くなります。各学年に週1時間の英会話(グローバル・ラーニング)があり、中2のイングリッシュキャンプ、中3の10月のオーストラリア修学旅行と、使う場面も段階的に用意されています。英検は中3の約90%が受検し、対策も放課後や長期休暇中の講習として校内で行われています。
ルート別という仕組みで家庭が気をつけたいのは、「いまのルートでの手応え」を英語力の全体評価と取り違えないことです。ルートの中で順調でも、扱っている教材や到達目標はルートごとに違います。学校の物差しと、6年先の大学受験で問われる物差しを分けて眺め、語彙と読む量という土台がどのルートでも積み上がっているかを見ておくと、高校からの伸びが変わってきます。
英語でよくあるつまずき
- ルート内の成績で安心・不安を判断し、6年先から逆算した現在地を見失う
- 週1の英会話や行事で「話す」機会は多い一方、読む量・語彙の積み上げが習慣化しない
- 小テスト対応が中心になり、初見の文章を読み切る体力が育たない
リープエンジンでのサポート(英語)
- ルート別授業の教材に合わせつつ、語彙・精読という受験の土台を並行して設計
- 英検受検の流れ(中3で約9割が受検)を利用し、級の準備を読解力の底上げに接続
- Language Artsで鍛える「筋道を立てて書く」力を、英作文・要約の練習につなげる
定期テストと6年間の学習設計——両輪を家庭でどう支えるか
森村学園の6年間は、高1までは全員が共通科目を履修し、高2から文系・理系へ分かれ、高3では演習形式の選択授業と多様な補習・講習で希望進路に直結した実力を養う、という段取りで進みます。定期テストは、この流れの中で「共通課程のうちに穴を作らない」ための定点観測だと位置づけるのが実際的です。
家庭で運用する際の要点を絞ると、次の三つです。
- 試験範囲は複数回まわす。 1周目で全体を通し、2周目は間違えた問題だけに絞る。週6日制で平日の家庭学習時間は限られるので、日曜と試験前の使い方をあらかじめ決めておくと崩れにくくなります
- 失点を単元にひもづけて記録する。 点数そのものより「どの単元の失点か」が資産になります。無理のない先取りの課程では、この記録がさかのぼり学習の地図になります
- 講習を家庭学習の設計に組み込む。 森村学園には中1から指名制の講習があり、希望制の講習は中1から高3まで続きます。学校が「積み残した子を呼んで補う」仕組みを持っているということなので、講習に呼ばれたかどうか・何を扱ったかを家庭でも把握しておくと、学校のサポートと家庭学習が二重にならず、かみ合います
在校生の声として学校案内に載っているのも、部活が忙しくなるなかで帰宅後の時間を使って授業を復習し、翌日の小テストに備える、という日常です。21の部があり、全国大会に出場する新体操部・陸上競技部をはじめ部活動も盛んで、みずき祭(文化祭)は学園をあげて取り組む最大の行事。この充実は森村学園の魅力そのものですが、時間の面では家庭学習と取り合いになります。「その週の内容をその週のうちに」という原則を、部活と行事の暦に合わせてどう守るかが、6年間の学習設計の実務です。
森村学園の進路設計——中等部で方向を探り、高2からの器で仕上げる
これは、森村学園にお子さんが通われているご家庭に向けた、在学中の進路設計の話です。
森村学園の進路の形は、その春に4年制大学へ進む層が多数派を占めつつ、もう一年かけて志望を通す層も一定数いる、というものです。指定校推薦の枠も難関私大を含めて持っていますが、カリキュラム全体——高2からの文理別・110分授業・個別プリント課題、高3の演習選択と講習——を見れば、主戦場は一般受験に置かれた設計だと読めます。進路の形は年度によって動きますので、実際の数字は学校配布資料や説明会でご確認ください。
学校自身の言葉に戻ると、中等部3年間の「進路指導」は夢の方向性を探る時間、「進学指導」はその実現へ学力を磨く営みです。この区分は家庭にとっても実用的です。中等部のうちは、行き先を決めることを急がず、方向を探る回り道を許す。その代わり、学力の積み上げ——共通課程の穴を作らないこと——だけは待ったなしで守る。方向はあとから決められますが、土台の穴は後から埋めるほど高くつくからです。高2の文理選択が実質的な最初の分岐で、ここから110分授業と個別課題という「仕上げの器」に入ります。この器を活かせるかは、高1までにどれだけ穴のない土台を持ち込めたかで決まります。
「今は塾を急がない」という判断も、正直にお伝えします
森村学園は、学校の中に支えの仕組みを多く持っている学校です。中1から指名制の講習があり、希望制の講習も全学年にあり、英検対策まで校内の講習で行われます。「進学指導」を学校が両輪の一つとして明確に引き受けているのですから、授業の復習が週の中で回っていて、定期テストの失点が特定の単元に偏っていないなら、外から急いで足すものはありません。それが正直なところです。
塾の出番は、両輪のかみ合わせがずれてきたときです。指名制講習に続けて呼ばれるようになった、高1の習熟度別編成で数学の位置が下がってきた、高2の文理選択を前に判断の材料がそろわない——そうした局面で、崩れた部分だけを立て直す形で使っていただくのが、この学校の設計には合っています。
森村学園の6年間を、切り拓く力に
森村学園は、広大な緑の敷地と充実した理科教育、Language Artsと英語のルート別授業という「言葉の設計」、そして進路指導と進学指導の両輪を備えた、骨格のしっかりした一貫校です。リープエンジンは中高一貫校専門の伴走役として、森村学園の課程(中3で高1相当までの無理のない先取り/高2からの文理別・110分授業)を前提に、「いつ・何を・どの深さまで仕上げるか」を必要な分だけ設計します。
また、併設の小学校に通っているお子さんについては、小学5年生からご相談をお受けしています。中1の教室の半数近くを内進生が占める学校だからこそ、小学校の学習を落ち着いて支えながら、中等部で週5〜6コマ規模で始まる英語・数学に向けた土台を小5・小6の2年間で先に作っておく、中学準備のためのプログラムです。