聖光学院中学校・高等学校
「紳士たれ」の6年間を、揺るがない学力に変える——先取りと深掘りを“復習設計”で支える
聖光学院中学校・高等学校は、神奈川県横浜市中区滝之上にある私立の男子・完全中高一貫校です。JR根岸線・京浜東北線「山手」駅から徒歩8分、横浜市営バスなら「滝の上」下車徒歩5分。通学圏は神奈川県が64%、東京23区が32%で、横浜側と東京側の両方から生徒が集まります。学校の説明にあるとおり、「カトリック精神を基盤にした教育で、きめ細かい学習・進学指導を実践」する学校で、併設高への進学率は100%。中高6年をひと続きの時間として設計できることが、この学校のすべての土台になっています。
まず一日の枠から見ておきましょう。3学期制で、平日は50分授業を6時限。登校は8時20分、下校は17時40分です。土曜も通常授業が50分×4時限あり、週6日で授業時間を確保する学校です。ただし土曜の使い方に聖光らしさがあって、中2では3・4時限が「選択芸術講座」に充てられています。受験一直線に見えて、教養の時間が時間割の中に固定されている——この設計は、後述する「聖光塾」とあわせて、聖光を読み解く鍵のひとつです。
そして学習面の核は、授業の厚さです。主要5教科の週あたりのコマ数は、中1・中2が英7・数6・国5・社3・理4の計25コマ、中3が社会が1コマ増えて計26コマ。3年間の合計は76コマで、公立中学の課程(計55コマ)よりはっきり多い。この厚みを使って、中高完全一貫校の利点を生かした先取り授業が行われ、主要5教科は中3のうちに高校内容に入ります。授業は教科書に加えて、教師自身が作成するプリントを中心に進む。つまり聖光の学習は「学校が速く・深く・自前の教材で進める」設計で、家庭側の仕事は、その進度に復習を追いつかせる仕組みづくりに集約されます。ここでは数学・英語のつまずきどころ、定期テストと6年間の学習設計、在学中の進路設計まで、通われているご家庭の目線で整理していきます。
聖光の数学カリキュラムとつまずきやすいポイント
週6コマ×自作プリントで、中3から高校内容へ——「速さ」を支えているのは教材の自前設計
聖光の数学は、中1から中3まで一貫して週6コマ。3年間で18コマ分が数学に充てられ、先取りの土台になっています。進度は、中3のうちに高校内容に入り、中3終了時には高1相当まで到達するのが目安です。習熟度別の編成はなく、全員が同じ進度でこの速さを進みます。
ここで押さえておきたいのは、この速さを支えているのが「教師自身が作成するプリント」だという点です。学校の説明にも、無理なく理解できるよう、また身につけた知識をみがきあげるよう工夫がこらされている、とあります。裏を返すと、聖光の数学の主戦場は市販の問題集ではなく、学校のプリントそのものです。市販教材は検定教科書の順序と難度を前提に作られているので、家庭で安易に足すと、学校の進度・並びとかみ合わず、二重の負担だけが残ることが起こります。補うなら「学校プリントのどの単元の、どの深さを補うのか」を先に決めるのが近道です。
数学でよくあるつまずき
- 解けたつもりで止まり、「なぜその方針になるか/条件は何か」が言語化できない
- プリントが授業の中心にあるため、整理が崩れるとそのまま復習の起点が消える
- 中3で高校内容に入るので、中学範囲の穴が「どこから直すか見えない状態」で持ち越される
- 週6コマの進度に対して復習が週遅れになり、遅れが雪だるま式に積み上がる
リープエンジンでのサポート(数学)
- 聖光の進度(中3で高校内容・中3終了時に高1相当)を前提に、学年ごとの到達目標を設定して共有
- 学校プリントを単元別に整理し、「次の試験で点になる順」に並べ替えて優先順位を明確化
- 解き直しは量ではなく、ミスの型(条件落ち・場合分け漏れ・論理の飛躍)を固定して潰す運用に
聖光の英語教育の特徴と対策
週7コマ+外部検定必須——校内の物差しと外の物差しを、毎年往復させる設計
聖光の英語は、中1から中3まで各学年週7コマ。主要5教科の中で最も厚く、各学年とも1時間の英会話を含みます。英会話は中1・中2で少人数編成になっており、「聞く・話す」に触れる時間が学年の早い段階から確保されています。
そして聖光の英語でいちばん特徴的なのが、外部検定の扱いです。中2から高2までの間に、ケンブリッジ英検・IELTS・TOEFL・英検のいずれかの受験が必須とされています。これは単なる資格取得の推奨ではありません。校内の定期テストという「校内の物差し」だけで6年間を過ごさせず、毎年どこかで「外の物差し」に当てさせる仕組みです。定期テストの点が取れていても、外部検定の長文やリスニングで手応えがない——そのずれが早い学年で見えることは、ご家庭にとってむしろ財産です。校内の成績と全国基準の英語力を別々に眺める習慣が、制度として組み込まれていると考えてください。
英語でつまずきやすいのは、この厚い授業を「こなす」ことに追われる状態です。週7コマ分の予習・小テスト対応で手いっぱいになると、読んだ英文が翌週に残らず、量のわりに力がつきません。
英語でよくあるつまずき
- 週7コマの宿題・小テストに追われ、本文の精読(構文・論理)が浅くなる
- 単語を「書けること」中心に覚え、「見て意味が出る」量が足りず、検定や長文で失速する
- 英会話でアウトプットは増えるが、家庭学習が復習として回らず、話した内容が定着しない
リープエンジンでのサポート(英語)
- 本文は音読→構文→要約を1セット化して、“理解した英文”を増やす
- 単語は「見て意味が出る」を先に、綴りは後から——という覚え方の型を家庭学習に接続
- 外部検定(英検など)の受験時期に合わせ、定期テスト対策と検定対策の配分を学期ごとに設計
定期テストと6年間の学習設計——「学校が厚い」からこそ、復習は短く・毎週
テスト前にまとめて頑張る方式が、聖光では不利になりやすい理由
主要5教科だけで3年間76コマ(公立は55)という授業の厚さは、テスト範囲の広さ・深さにそのまま跳ね返ります。プリント中心の授業は理解の密度が高いぶん、直前の詰め込みで取り返すことが難しい。だから聖光で成績が安定している状態とは、「テスト前が軽い」状態です。毎週の復習ループを先に作ってしまい、テスト前は仕上げだけにする——気合いではなく設計で解決するのが勝ち筋です。
- 2週間前:学校プリント・問題集を“1周完了”(英語=本文・語彙・文法/数学=例題・頻出の型)
- 1週間前:小テスト・間違い直しを「失点源つぶし」として回す
- 直前:ミスの型だけを最終確認(条件落ち・場合分け・語法・時制など)
講習が「指名制」で始まる学校——学校からのサインを読む
長期休暇中の講習は、中1から高1までが指名制、中2から高3までが希望制です。つまり学校側が「この生徒には今、補強が要る」と判断すれば声がかかる仕組みが、中1から入っています。指名がかかったら、それは学校からの正直なサインです。責めるより先に、どの単元で復習が週遅れになったのかを親子で特定するきっかけにしてください。逆に指名がかからず回っているなら、日々の型は機能していると読めます。
教養の枠が時間割に固定されている、という個性
もうひとつ、6年間の設計として知っておきたいのが、聖光の「受験勉強以外の枠」の置き方です。中2の土曜3・4時限は選択芸術講座。学年を限定しない「聖光塾」では、自然観察、茶道入門、ロボット製作などの教養講座が開かれ、特別講師を招いた体験的な学習も行われます。中学では宗教の授業が週に1時間あり、道徳的なテーマについて考えを深める。さらに「理数(探究)」と「情報」の内容を融合させた探究・情報科教育も特色です。学校自身が「学習面で大事なことは、単なる受験のための技術をみがくことではない。粘り強くがんばる力、自分で考える力を身につける」と語る学校です。部活は約25あり、全国大会出場の少林寺拳法部や野球部・サッカー部、交通研究部・吹奏楽部・囲碁将棋部、世界大会出場の実力を持つ英語ディベート同好会など、生徒有志による公認団体もさかんです。行事は高2を中心に全校が盛り上がる聖光祭(文化祭)が代表的で、体育祭のほか、中1・2は長野県斑尾高原で自分たちでテントを張って生活する夏季キャンプ、中2は古都研究旅行、中3はスキー教室と選択社会科演習、と学年ごとの節目が置かれています。中3・高1の希望者には2〜3週間の海外研修があり、アメリカ・メリーランド研修ではメリーランド州立大学と提携したサマープログラムを受講します。カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの研修も用意されています。
これらは「勉強の邪魔」ではなく、時間割と年間行事に最初から織り込まれた前提です。だからこそ家庭学習の設計は、行事や講座で使う時間を差し引いた「実際に使える時間」で立てる必要があります。
聖光の進路設計——在学中の進路の組み立て
これは、聖光にお子さんが通われているご家庭に向けた、在学中の進路設計の話です。
進路の“形”をどう読むか
聖光の卒業後の進路は、その春に4年制大学へ進む層が多数派で、もう一年かけて志望を通す層も一定数いる、という形です。第一志望を下げずに勝負する生徒が一定数いる——ここに、きめ細かい進学指導を掲げる聖光の受験文化が表れています。内訳は年度で入れ替わりますから、割合の最新値は学校の配布資料や説明会で確かめてください。数字そのものより、「本線は一般受験で、時間をかけてでも志望を通す文化がある」という形を読み取ることが、家庭の設計には役立ちます。
高2の文理分けまでに、何を決めておくか
カリキュラム上の節目は、高2からの文系・理系の分かれ目です。中3のうちに高校内容へ入る進度を踏まえると、高1までの2年半は「高校範囲の土台を、文理を問わず固める期間」になります。この間に数学と英語のどちらかに深い谷を作ってしまうと、文理選択が「得意で選ぶ」ではなく「苦手から逃げる」判断になりがちです。文理分けまでに両輪を回しておくことが、選択肢を残すいちばん確実な方法です。
校内の受験の手当てが厚い学校です——だから、外部を足す判断は落ち着いてよい
聖光は、受験に向けた手当てを校内に多く持っている学校です。夏期講習では多くの講座が用意され、高3の冬期には共通テスト対策の講習まで校内で実施されます。長期休暇の講習も中1から制度化されている。つまり「受験学年になったら塾で一式そろえる」前提の学校ではありません。学校の授業とプリントの復習が毎週回り、講習も活用できているなら、外部を足す判断は急がなくてよい、というのが正直な見立てです。
外部の出番があるとすれば、それは「一式」ではなく「特定の穴」です。週6コマの数学に復習が追いつかなくなった、外部検定で見えた英語の弱点が定期テスト対策だけでは埋まらない、文理選択を前に一方の教科の谷が深くなった——そういう特定の箇所を、学校の設計を壊さずに埋める形が、聖光には合っています。
聖光の6年間を、外の物差しに通用する学力に
聖光学院(横浜市中区滝之上100)は、2014年に完成した「文化を創る100年建築」をコンセプトとする校舎——教育に身をささげたフランスのラ・ムネ神父にちなむ1510名収容のラムネホール、聖堂、中庭、日替わりランチや麺類・丼物の並ぶ250席の食堂——を持ち、在校生が「かたくるしい学校かと思っていたが、のびのびとしていて、授業はとにかくおもしろい」と語る環境です。学校が掲げるのは、学力と心の2つをみがくこと。あいさつや整理整頓、思いやりの心を受験勉強以上に大切なものとして置く学校です。
リープエンジンは、中高一貫校専門の伴走役として、聖光の設計——3年間76コマの厚い授業、教師自作プリント中心の進行、中2〜高2の外部検定必須、高2文理分け——を前提に、ご家庭ごとに「いつ・何を・どの深さまで」を組み立てます。学校が自前で速く深く進む6年間だからこそ、外から足すものは最小限に、必要な箇所だけ精密に。それが聖光の6年間との正しい付き合い方だと考えています。