黄チャート
黄チャートをお使いの方へ
学校で黄チャートが配られた。青ではなく黄だったことに、何か意味があるのだろうか——そんな疑問をお持ちの保護者様は少なくないと思います。この文章は、『チャート式 解法と演習 数学』(数研出版)、通称・黄チャートを学校の教材として使っている中高一貫校のご家庭に向けて、この本の位置づけと使い方を整理したものです。
白・黄・青・赤と難度の上がるチャート式4色のうち、黄は白と青のあいだ。日常学習の基礎固めから始めて、入試の標準レベルまでの必須問題をひととおりカバーする構成です。例題が紙面の軸で、例題は基本のもの・重要度の高いもの・補充的なものに種類分けされ、それぞれに解き方の要点を示す欄が付きます。例題中心の設計と、一冊の分量がかなり多いことは、青チャートと共通です。
まず、冒頭の疑問に答えておきます。青か黄かは学校の先生方が生徒の実態と授業設計に合わせて選んだ結果であって、優劣の宣告ではありません。そして LE では、黄チャートを「教科書傍用問題集の強化版」と位置づけています。授業と定期テストに沿って使う本としては、傍用問題集より解説が手厚く、確認から演習までが一冊で完結する。ここが黄チャートの持ち味です。逆に、難関大入試の対策そのものを担う本ではない——この線引きを最初にはっきりさせておくと、この先のつき合い方に迷いがなくなります。
いつ役に立つのか——青チャートとの違い
使い方の原則は、青チャートの記事に書いたことがそのまま当てはまります。すなわち、定期テストのたびに試験範囲を2〜3周する。範囲ごとに決着をつけながら積んでいけば、手を入れた一冊があとで財産になります。分量の多さも青と同じですから、放置していた黄チャートを高2から急に受験対策として持ち出すのは得策ではない、という注意もそのまま成り立ちます。まっさらな網羅系参考書を高2の限られた時間で頭から消化する計画は、色が何であれ破綻しやすいのです。
一方で、青チャートと違う点がひとつあります。青チャートを範囲ごとに積み上げてきた生徒には、受験期、難関大の演習を支える「自分専用の解法辞典」が手元に残ります。黄チャートで同じことをした場合に残るのは、基礎〜標準の型を確認するための辞典です。これはこれで大切な資産ですが、難関大の入試演習でわからない問題に出会って引いたとき、載っていないことが増えてきます。つまり黄チャートは、積み上げの価値は青と同等にありながら、受験終盤の「辞書」としての射程がひとまわり短い。難関大を目指す生徒さんが黄チャートを配られている場合は、定期テスト期の相棒として黄を使い切り、受験期の演習の支えは志望校に合わせて別に用意する——この二段構えを、あらかじめ頭に置いておいてください。切り替えの時期や次に何を使うかは現状によって変わるので、ここは個別の設計になります。
定期テスト期の使い方
進め方は次のとおりです。
- 1周目は、試験範囲の基本の例題を、解き方の要点欄をかくして自力で解きます。解けなかったものに印をつけ、要点を確認してすぐ解き直します。
- 2周目は、印の例題とその類題。学校の指定課題があればここに組み込みます。
- 3周目は、印が消えないものだけ。重要例題まで手を広げるかは、学校の出題傾向しだいで足し引きします。
「全部やらなければ」と思わないことが何より大切です。分量の多い網羅系の本は、範囲を絞って往復してこそ回ります。むしろ黄チャートは青より難度の上限が抑えられているぶん、試験範囲内であれば「基本例題は全部触る」が現実的に成立しやすく、定期テスト用としての完成度は高い。配られた黄チャートは、その用途で使い切るのがいちばん報われます。
自分で買おうか迷っている場合
学校の指定がなく、書店で青と黄のどちらを買うか迷っている場合について、一言だけ。色選びの議論は世間にあふれていますが、大事なのは色よりも「範囲ごとに使い切れるか」です。定期テストや学校の進度に沿って積んでいけるなら、どちらでも機能します。逆に「受験学年になったから網羅系を一周する」という動機での購入は、色にかかわらず立ち止まって考え直すことをおすすめします。その時間配分には、たいてい無理があります。
塾を活用した黄チャートの勉強法
黄チャートで迷いが生まれやすいのは、本そのものの使い方よりも、その先の設計です。基礎〜標準の型が身についたあと、どのタイミングで、何を使って入試レベルへ橋を架けるか。志望校と現状によって答えが変わるところで、生徒がひとりで判断するのはむずかしい部分です。LE では、学校の進度と定期テストに合わせて黄チャートの消化を管理しながら、受験期に向けた次の一手を個々の状況に合わせて設計しています。黄チャートの使い方、その先の進め方に迷われている方は、お問い合わせからどうぞ。現状をうかがって、順路をご提案します。