東京都立白鷗高等学校附属中学校

130年の上に、2005年からの6年間——都立白鷗の課程の組み立て方

東京都立白鷗高等学校附属中学校は、東京都台東区にある共学校です。校名の「附属」が指しているのは、母体である東京都立白鷗高等学校のこと。その高校は2018年に創立130周年を迎えました。いっぽう、中高一貫の課程が始まったのは2005年です。「都立初の中高一貫教育校として、2005年に開校しました」と学校自身が述べています。130年の高校の上に、20年ほどの一貫課程が乗る。この二重の時間軸が、学校の自己紹介の骨格です。

課程の形は併設型です。中学校と高等学校という区切りをそのまま持ち、学年の呼び方も中1から中3、高1から高3。併設の高等学校へは、ほとんどの生徒がそのまま進みます。

学校が育てたいと掲げるのは、日本文化・伝統の理解を基盤としたアイデンティティと、ダイバーシティ(多様性)を尊重する精神の双方を備えた真の国際人として課題解決を図り、「競争」と「協働」を両立できる生徒、という姿です。国際人という言葉の手前に、日本文化・伝統の理解が置かれている——順番に意味があります。授業には「日本文化概論」が設定され、日本伝統文化・工芸体験や浅草・上野の地域探究を通じて日本人としての自覚と誇りを養う、と学校は説明しています。

そのうえで、家庭の学習設計に直接効く特徴を先に一つ挙げます。この学校は、習熟度別の授業を教科と学年で出し入れします。 英語の習熟度別は中3から高3まで。数学の習熟度別は中1・中2、そしてもう一度、高1です。少人数制のクラスは置いていません。

並べ直すと、中3が結節点です。数学の習熟度別がいったん外れ、入れ替わりに英語の習熟度別が始まる。ひとつの学年で、ふたつの教科の扱いが逆向きに動きます。以下の各節は、この一点を背骨にして読んでください。

都立白鷗の数学カリキュラムとつまずきやすいポイント

中1・中2は分かれて進み、中3でそろう

数学のコマ数は、中1が週5、中2と中3が週4(1コマ45分)。習熟度別で分かれるのは中1と中2で、中3では学年一斉に戻ります。学校が掲げる方針は、演習の時間を十分に取り、課題学習などを通して問題解決能力をのばす、というものです。

つまり中1・中2は理解の速さに合った授業を受けられる2年間で、中3ではその調整役が授業の側から外れます。だから中1と中2に置きたい状態はひとつに絞れます。中3で一斉授業に乗ったとき、その授業が復習と定着の場として働く状態です。埋まっていない場所を残したまま中3を迎えると、一斉授業を受けながら穴を自分で見つけて塞ぐ作業が別に要ります。

演習の時間が確保されている授業だからこそ、家庭で見たいのは手が動いていたかどうかより、解いたあとに自分の言葉で手順を言い直せるかどうかです。

高1で、もう一度分かれる

数学の習熟度別は、高1でまた入ります。中3の1年間は、ふたつの習熟度別クラスにはさまれた期間です。

ここで効くのが、数学の積み方です。ある単元があいまいなまま先へ進んでも、その場のテストでは点が取れてしまうことがある。やっかいなのは二つ三つ後の単元に入ったときで、手が止まった原因が今日の問題ではなく数か月前の内容にある、という形で表に出てきます。中3の一斉授業でこの遅れが見つからないまま高1に届けば、分かれる時点の位置にそれが出ます。

打ち手は地味です。中3のあいだ、単元が変わるたびに「この単元は前の何を使っているか」を一度書き出しておく。それだけで、止まったときに戻る先が自分で見つかります。どうしても特定できないときは、リープエンジンでも、通常授業の枠を新しい範囲に使う前に、止まっている単元をひとつ決めて、そこだけを短く埋めます。

都立白鷗の英語教育と、6年間での伸ばし方

5教科でいちばん厚く、そして中3から分かれる

主要5科の3年間の合計で見ると、いちばん多くのコマを取っているのが英語です。中1と中3で週6、中2で週5。うち英会話が中1は2時間、中2・中3は各1時間——音から入る時間は最初の年がいちばん厚い形です。ただし1コマは45分ですから、他校の週コマ数とそのまま並べても意味がありません。厚みを作っているのは1回の長さではなく、触れる回数のほうです。

そして英語の習熟度別は、中3から高3まで。中1・中2は学年一斉で、全員が同じ授業を受けます。数学とはちょうど逆の形です。

中1・中2の英語は全員が同じ教材を同じ速さで進むので、自分がどのあたりにいるのかは授業の形から見えません。中3で分かれるというのは、その2年間の積み上げがはじめて授業の形に表れるということです。ただ、不安に取る話ではありません。むしろ逆で、ここは「差がつく前の2年間」ではなく「全員そろって積める2年間」です。決めるのはふたつ、単語に会う回数と、1年で読む分量です。綴りは後まわしでかまいません。先に要るのは、目にした語が引っかからずに意味へ変わる状態で、これは触れた回数でしか作れません。

先取りを進める教科で、密度をどう受け止めるか

学校は英語について、文法・語法の先取り学習を進めながら、補助教材を導入し、スピーチやプレゼンテーションの機会を数多く設けることで「話す・書く・聞く・読む」の能力をバランスよく高める、と説明しています。文法・語法は先へ進める、と学校自身が明記している教科です。

ここで45分という条件をもう一度置いてください。1回で扱える時間には上限があり、そこへ先取りの内容と補助教材と、話す・書くの活動が入ってきます。1回あたりの密度は当然、高くなる。週6コマという数字は、余裕があることを意味しません。

密度の高い授業のあとに家庭でやることは、多くありません。その日に新しく出てきた語と文法事項を、一行でいいので書き残す。それを週末に見返す。この2工程だけ崩さずにおくと、先へ進む授業に置いていかれずに済みます。中3では学年の全員が英検を受検します。校内とは別の物差しで位置を見る場が、ちょうど習熟度別の始まる年に置かれているわけです。

使う場面は、中3の3月から始まる

英語を実際に使う場面は、中3の終わりから並びます。中3の3月に約1週間のアメリカ研修旅行。中3から高2にかけてオーストラリアへの短期留学、高1・高2でフランスへの短期留学、そして高2に海外研修旅行。

起点は中3です。習熟度別が始まった年の3月に、最初の研修がやってくる。中1・中2の英語に締め切りを一つ置くなら、この日付を使うのがいちばん自然です。単語に会う回数を家庭だけでは管理しきれないと感じたら、リープエンジンのアベセ(ABC)に、その回数の管理だけを預けてしまう使い方もあります。

定期テストと、6年間を見通した学習設計

8時10分に登校して、18時に下校する

3学期制で、1コマ45分、1日7時限。登校は8時10分、下校は18時。朝から夕方まで、まるごと学校にいることになります。中学のあいだは給食です。主要5科は週22〜23コマで、公立中学校の課程より厚く取られています。

帰宅してから寝るまでに使える帯は、そう長くありません。「7時限ぶんをその日のうちに全部戻す」設計には、最初から無理があります。平日は当日の授業のうちひとつかふたつに短い確認を当て、まとめて戻す作業は週のどこかに置く。その曜日を先に決めておけば、忙しい週でも一枠だけは残ります。

土曜は、月に一度だけ通常授業

土曜日の使われ方は一定ではありません。月に1回ほど学校公開があり、その日は45分×4時限の通常授業。それ以外の土曜は、クラブ活動や補習・補講、特別講座などにあてられます。

つまり土曜には三通りの顔があります。授業の日、部活の日、補習や講座の日。どれに当たるかは週で変わるので、土曜をまとめ直しの日に固定する組み方は、学校公開や講座の入った週で崩れます。月の初めに、その月の土曜が何に使われるかを見て予定を組むほうが安全です。補習・補講と特別講座が週の終わりにある、つまり校内で使える手当てがそこにある、という点も押さえておいてください。

部活動は運動部が10部、文化部が8部。バレーボールやサッカーなどの運動部に対して、文化部には吹奏楽や演劇、茶道とともに、長唄三味線、百人一首、和太鼓があります。日本文化・伝統の理解という方針が、教科の外にもそのまま置かれているわけです。百人一首部などは全国大会にも出場しています。行事は初夏の体育祭と秋の白鷗祭が二大イベント。ほかに合唱コンクール、中1のプレゼン学習、京都・奈良への修学旅行があります。

定期テストの読み方は、中3で一度変わる

中1・中2では、数学が習熟度別、英語が学年一斉。同じ答案でも意味するものが違います。数学の点数は自分が受けている講座の中での結果、英語の点数は学年の全員が同じ授業を受けたうえでの結果です。中3ではこれが入れ替わります。中3の最初の定期テストは、両方の教科で読み方が変わる回だと思っておいてください。

もうひとつ、国語について。この学校の国語は中1・中2から古文・漢文に入ります。中1の定期テストの範囲に、すでに古典が含まれるということです。日本文化概論の授業と並べれば、日本の言葉と文化に早くから触れる設計が教科の中にも置かれているのが分かります。古典は最初のテストで戸惑いやすい分野です。範囲が出た時点で現代文と時間を分けると崩れません。

都立白鷗の進路設計——在学中の進路の組み立て

この節は、東京都立白鷗高等学校附属中学校に通うお子さんがいるご家庭に向けて書いています。

進路の出方(学校の進路構造の一般傾向)

この学校の進路は、高校3年間で科目をどう絞るか、その段取りのほうに表れています。学校自身はこう説明します。高1では主要5教科をかたよりなく学ぶ。高2からは文系・理系の区分となり、高3では大幅な科目選択制が導入されるため、各自の希望進路や興味・関心に応じた実践的な学習が可能になる——。

要点は、絞り込みが二段階になっていることです。高1までは5教科すべてを持って歩き、高2で大きくふたつに分かれ、高3でさらに細かく選ぶ。科目を減らす最初の判断は高2の入口に、二度目はその1年後に来ます。

高1にはもうひとつの性格もあります。数学の習熟度別が、ここでまた入る学年だということ。5教科をかたよりなく学ぶ年でありながら、数学だけは速度で分かれます。長期休暇の講習にも段差があり、中1から高3までは指名制・希望制、高2だけが全員参加です。文理に分かれた最初の年に、学校が時間をまとめて確保している、と読めます。

キャリア教育の側も見ておきます。中3で東京大学を訪問し、白鷗高校の出身者である大学生によるキャンパスツアーや講義を受ける体験ができます。ここは行き先をひとつに定めるための行事としてではなく、中3という時期に大学の中を一度見る機会が課程に置かれている、と読むほうが役に立ちます。

ただし、高3の科目選択の設定も、習熟度別クラスの編成も、年度によって変わるものです。現在の内容は学校配布資料や面談でご確認ください。

だから、こう設計します

組み立ての起点は、高1の終わりに置いてください。目標は「高2で文系・理系を選ぶとき、成績を理由に選べなくなった道が出ていない状態」です。ここが決まると、手前の学年でやることも決まります。

中1・中2は、数学が習熟度別、英語が学年一斉の2年間。数学は中3の一斉授業を復習の場として使えるところまで固め、英語は単語に会う回数と読む分量を点数とは別立てで積む。このふたつで足ります。

中3は、入れ替わりが同時に起きる1年です。数学は学年一斉に戻り、英語は習熟度別が始まる。3月にはアメリカ研修も入ります。ここで置きたいのは、数学の遅れを翌年へ送らないこと。高1でもう一度習熟度別に入る以上、中3で残したものは高1の入口に出ます。

高1は、5教科すべてを持ったまま走る最後の年です。ここで一教科でも大きく崩れると、高2の文理選択が「選ぶ」ではなく「残ったほうを取る」に変わります。

では、いつ外の手を借りるか。多くのご家庭では、まだそのときではありません。英語にも数学にも大きな穴がなく、授業でやったことが週のうちに戻せている。この二つが立っているうちは、塾より先に校内の資源を数えてください。土曜には補習・補講と特別講座があり、長期休暇の講習も指名制・希望制で置かれています。ここを使い切らないまま外の枠を重ねても、伸びるより先に一日が埋まります。

腰を上げる目安も、この課程が教えてくれます。切り替わりの直後です。中3に上がって数学が一斉授業になったのに、手が動いていない。英語が習熟度別に入って、そこから学期をまたいで位置が戻らない。高1で5教科をかたよりなく学ぶはずの年に、どれか一つを実質的に降ろしている。いずれも扱いが変わった直後に出るサインで、放っておくと次の切り替わりまで持ち越されます。足すのは量ではなく、教科と期間です。止まっている一教科を選び、いつまでにどこを埋めるかを決めてから枠を取る。リープエンジンでお引き受けする場合も、この順序は変えません。

都立白鷗の6年間を、見通しを持って

東京都立白鷗高等学校附属中学校(東京都台東区元浅草)は、都営大江戸線・つくばエクスプレス線の新御徒町駅から徒歩5分、地下鉄銀座線の稲荷町駅から徒歩6分、JR御徒町駅から徒歩10分です。

2005年の開校から2018年の創立130周年へ。そこで国際色豊かな教育のミッションが本格的に始まった、と学校は言います。歴史と伝統を背景に、変化を恐れず常に先を見据える——令和4年度の理数研究校、令和6年度の東京サイエンスハイスクール指定も、その延長にあります。日本文化概論の授業、日本伝統文化・工芸体験、浅草・上野の地域探究、高1の伝統文化理解教育。いっぽうで、アメリカ研修旅行、オーストラリアとフランスへの短期留学、高2の海外研修旅行。土台に日本の文化を置いて、そこから外へ出ていく。育てたい生徒像の順番が、そのまま課程の並びになっています。

年に一度でいいので、「いま、扱いが変わる年の手前にいないか」を見てみてください。数学が中3で一斉に戻り、英語が中3で分かれ、高1で数学がまた分かれる。高2で文理に、高3でさらに細かく。この6年は一定の速度で流れるものではなく、教科ごとに扱いが切り替わっていくものです。切り替わりの手前で一度立ち止まる。その立ち止まりに付き合う相手が要るときは、教科と時期を決めたうえでリープエンジンをお使いください。

文責:リープエンジン編集部 ・ 最終更新 2026-07-25